「大学編入」という言葉は聞いたことがあっても、具体的に何ができる制度なのかは意外と知られていません。今の大学に通いながら別の大学へ移れるのか、単位はどうなるのか、誰でも使えるのか——。答えはいずれも制度として決まっています。大学編入の仕組み・メリット・デメリットを、前提知識のない状態から順に説明していきます。

この記事の要点

  • 編入=今の大学の単位を活かして、別の大学の2〜3年次から入り直す制度
  • 一般入試の再受験と違い、1年生からやり直さなくていい
  • 在籍したまま挑戦できるので、落ちても現状維持=リスクが低い
  • 一方で「情報が少なく一人で進めにくい」という難しさもある
  • 同じ経済系でも試験は大学ごとに違う。英検が使えるのは調べた8校のうち2校だけ

大学編入とは?――途中から別の大学に移る制度

大学編入とは、すでに大学(または短大・高専)に在籍している人が、別の大学の2年次または3年次に途中から入学する制度です。一般入試のように1年生から入り直すのではなく、それまでに取った単位を引き継いで、続きから卒業を目指せるのが最大の特徴です。

多くの大学が「3年次編入」を実施しており、2年間で卒業に必要な単位を満たして卒業します。試験は大学・学部ごとに異なりますが、経済・経営系では英語(外部検定スコアまたは筆記)+専門科目+面接や志望理由書という組み合わせが一般的です。

編入する人は年間何人いるのか

では、毎年どれくらいの人が編入しているのか。文部科学省の学校基本調査に編入学者数の集計があり、令和6年度は6,717人、このうち経済・経営・商学系は731人でした。内訳は、短期大学から3,000人、高等専門学校から2,571人、専修学校の専門課程から1,101人です。

出典:文部科学省「学校基本調査」令和6年度・表17「学部別 編入学者数」。合計6,717人は上の区分を合算したものです。

ここで気をつけたいのは、いま4年制大学に通っている人が別の大学へ移る編入は、この6,717人に入っていないことです。学校基本調査は編入してきた人を出身校の種類で分けていて、4年制大学という分け方がありません。制度としては毎年実施されているのに、人数が公表されていないということです。だから「大学生で編入する人は年に何人か」に、公的な答えはありません。

人数の代わりに手がかりになるのが、各大学が募集要項に書いている募集人員です。経済系9校を数えたところ、人数が明示されている6校の合計は81人でした。数え方と各校の内訳は大学編入は年間何人?公的統計で分かること・分からないことにまとめています。


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大学編入は年間何人?公的統計で分かること・分からないこと

編入と「再受験・仮面浪人」はどう違う?

「上の大学に行き直したい」と思ったとき、編入のほかに再受験や仮面浪人があります。違いを整理すると次のとおりです。

編入 再受験・仮面浪人
入る学年 2〜3年次(続きから) 1年生からやり直し
今の単位 引き継げることが多い 活かせない
挑戦中の在籍 今の大学に在籍したまま 在籍または退学(負担大)
不合格のとき 現状維持でOK 時間を失いやすい

同じ経済系でも、試験は大学ごとに違う

「編入試験」とひとまとめにはできません。同じ経済・経営系でも、使える英語の試験も、選べる専門科目も大学ごとに決まっています。当メディアで2027年度(令和9年度)の募集要項を1校ずつ照合した結果が、次の3つです。

調べたこと 結果
経営学で受けられる大学 3校だけ神戸大学 経営学部関西大学 商学部同志社大学 商学部で、国公立は神戸大学 経営学部だけです。対策は編入試験の経営学の勉強法に整理しました
英検が使える大学 2校だけ。関西大学 商学部と近畿大学 経済学部です。神戸大・滋賀大・名古屋大・大阪大・横浜国立大の国公立5校は、要項に選択肢がありません
経済学検定(ERE)を課す大学 大阪大学 経済学部だけです

出典:各大学が公表している2027年度(令和9年度)の募集要項。照合した学校数は項目ごとに違い、経営学は12校、英検は8校、EREは9校を確認した結果です。募集内容は年度によって変わるため、出願前に必ず最新の要項を確認してください。

ここから言えるのは、志望校を決める前に対策を始めると、その勉強が出願に使えないことがあるということです。たとえば英検準1級を持っていても、上の国公立5校では出願書類になりません。英語をどの試験で受けるかは、大学を選んでから決める順番になります。英検が使える2校の条件は編入試験は英検で受けられる?経済系8大学を調べたら2校だけだったで1校ずつ書いています。

編入のメリット

  • 学歴・環境を「上書き」できる:最終学歴は編入先の大学になる。中堅私大から国公立・上位私立へ移れる
  • リスクが低い:今の大学に在籍したまま挑戦でき、落ちてもそのまま卒業できる
  • 努力が無駄になりにくい:対策で身につけたTOEICや専門知識は、結果に関わらず就活でそのまま使える
  • 科目が絞られている:一般入試より試験科目が少ないことが多く、社会人・大学生でも対策しやすい


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大学別の編入情報|経済・経営系で狙える大学を見る

編入のデメリット・注意点

  • 情報が少なく、一人で進めにくい:周りに編入経験者がほとんどおらず、何から始めるか分かりにくい
  • 募集が年により変わる:特に私立は募集停止・科目変更がある年も。必ず最新の募集要項を確認する
  • 単位認定の上限がある:引き継げる単位には上限があり、編入後に多めに履修する場合もある。認定されやすさは科目で分かれ、語学などの一般教養はまとめて認定されやすい一方、編入先の専門科目は認定されにくいのが一般的です(編入の単位認定の仕組み
  • 狙う大学を絞る必要がある:日程・科目が大学ごとに違うため、早めに志望先を決めると対策しやすい

編入はこんな人に向いている

編入は、「今の大学が合わない・物足りないが、学ぶこと自体は続けたい」という人に向いた制度です。たとえば次のような悩みを持つ人です。

いま大学に在籍している人だけでなく、中退や就職を経てから編入した例もあります(【体験談】大学中退から名古屋大学経済学部へ)。

経済・経営・商学系であれば、産近甲龍・関関同立から、神戸大学・滋賀大学などの国公立まで、編入で狙える大学は幅広くあります。具体的な難易度や試験科目は大学別の編入情報で確認してみてください。

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