編入すると、いまの大学で取った単位はどうなるのか。ほとんどの記事が「大学によります」で終わりますが、要項を読むと具体的な数字が書いてあります。
当メディアが経済・経営系の募集要項と編入学ガイドを読んだ範囲では、こう書かれていました。山形大学は読み替えの上限が64単位。島根大学は全学基礎教育科目42単位を修得済みとして扱う。下関市立大学は62単位を認定する。
そしてもっと大事なことが分かりました。同じ62単位でも、何の単位として認定されるかが人によって変わります。専門科目として認められる人と、教養科目としてしか認められない人がいます。この違いで、2年で卒業できるかどうかが決まります。
この記事の要点
- 認定される単位数は要項に書いてある。山形大学は上限64単位、島根大学は42単位、下関市立大学は62単位
- ⚠️大事なのは数より「何の単位として」認定されるか。下関市立大学は経済学・商学・経営学以外の出身だと、専門科目として認定しない
- ⚠️そのとき要項は「最短年限(2年)で卒業することは時間的に大変厳しくなります」と書いている
- 自動で認定される部分と、1科目ずつ審査される部分がある。山形大学は基盤共通教育の38単位が自動
- ⚠️富山大学の要項には「編入学後2年以上4年以内」と、在学できる期間の上限まで書かれている
単位認定とは、前の大学の単位を卒業単位として認めてもらう仕組み
単位認定は、前の大学・短大・高専・専門学校で取った単位を、編入先の卒業に必要な単位として認めてもらう手続きです。これがあるので、3年次編入なら1・2年生をやり直さずに3年生から始められます。
審査するのは編入先の大学です。合格してから入学までのあいだに決まるのが一般的で、出願の時点では確定しません。
何単位持っていけるのか|要項に書いてある数字
当メディアが読んだ要項・編入学ガイドから、実際の数字を並べます。
| 大学 | 認定される単位 | 要項の書き方 |
|---|---|---|
| 山形大学 人文社会科学部 | 上限64単位 | 「読み替えることができる単位数の上限は64単位です」 |
| 下関市立大学 経済学部 | 62単位 | 入学前に修得した単位を62単位として認定する |
| 島根大学 法文学部 法経学科 | 全学基礎教育科目42単位 | 「既に必要な単位を修得したものとして取り扱いますので、改めて履修する必要はありません」 |
| 高知大学 | 単位数の明記なし | ⚠️「出身学校で履修した授業科目の内容によっては、高知大学の卒業に必要な単位として認定されないものがあります」 |
出典:各大学の2027年度(令和9年度)第3年次編入学の学生募集要項、および山形大学人文社会科学部の編入学ガイド。当メディアが取得して読んだ範囲のもので、すべての大学を調べたわけではありません。
60単位前後が1つの目安です。多くの大学が出願資格として62単位前後を求めるので、その分がそのまま認定されます。
注:2015年に神戸大学経済学部へ編入したときの話です。当時の扱いなので、現在の認定単位数とは異なる可能性があります。
次に読む神戸大学 経済学部 編入の難易度・試験科目・対策【令和9年度】
⚠️同じ62単位でも、何の単位として認定されるかが違う
ここがこの記事でいちばん大事な部分です。単位は数だけ見ても意味が分かりません。
下関市立大学の要項は、出身学部によって扱いを分けています。
| 出身 | 62単位がどう認定されるか |
|---|---|
| 経済学・商学・経営学を専攻する学部・学科 | 基礎教育・教養教育科目に加えて、一部の専門教育科目としても認定 |
| それ以外の学部・学科 短大・高専・専門学校など |
すべて基礎教育・教養教育科目として認定。専門教育科目としては認定しない |
下の行に当てはまると、卒業に必要な専門教育科目を編入後の2年ですべて取ります。その単位数も要項に書いてあります。経済学科76単位・国際商学科72単位・公共マネジメント学科76単位です。
そして要項自身が【重要】として、こう書いています。
最短年限(2年)で卒業することは時間的に大変厳しくなります
大学が自分で「2年では厳しい」と言っているということです。法学部や文学部から経済系へ移る人、短大や専門学校から編入する人は、ここを読まずに出願すると計算が狂います。
⚠️この条件は下関市立大学のものです。単位認定の扱いは大学ごとに違うので、他大学に当てはめないでください。要項には教務課の電話番号(083-252-0289)が載っていて、自分の学部が該当するかを「あらかじめ問合せてください」と書かれています。出願前に電話で確かめられます。
次に読む下関市立大学 経済学部 編入の難易度・試験科目・対策【2027年度】
自動で認定される部分と、1科目ずつ審査される部分がある
認定のやり方も大学で違います。山形大学の編入学ガイドは、2つの方式を組み合わせると書いています。
| 方式 | 対象 | どうなるか |
|---|---|---|
| 包括認定 | 基盤共通教育科目 | 38単位が自動的に認定される。これまでの単位取得履歴にかかわらず |
| 個別認定 | 専門教育科目 | 前の大学で取った特定の科目を、山形大学の特定の科目に1つずつ読み替える |
方針も書かれています。「編入学生の皆さんを1年次からの在学生と可能な限り平等なスタートラインに立たせる」。教養の部分は丸ごと認めて、専門だけ中身を見る、という考え方です。
⚠️例外もあります。山形大学は「教職副専攻プログラム修了を希望する場合は、包括認定方式は適用せず、すべて個別認定方式によって読み替えがなされます」と書いています。教員免許を考えている人は、自動で38単位という前提が崩れます。
島根大学も似た形です。全学基礎教育科目42単位は修得済みとして扱われるので、改めて履修する必要がありません。法経学科の卒業要件131単位の内訳は、全学基礎42+専門69+自由20です。つまり編入後に取るのは、専門69単位と自由20単位が中心になります。
次に読む山形大学 人文社会科学部 編入の難易度・試験科目・対策【令和9年度】
留年するのか|要項に書いてある在学期間
「2年分がムダになって留年するのでは」という不安には、要項が直接答えている大学があります。
| 大学 | 要項の書き方 |
|---|---|
| 富山大学 経済学部 | 「編入学後2年以上4年以内に本学部規則に定める授業科目を履修し、卒業に必要な単位を修得した者については、学士の学位を授与します」 |
| 島根大学 法文学部 | 「所属学科、コース・研究室によっては、2年を超えて在学しなければならない場合もあります」 |
| 下関市立大学 経済学部 | 経済系以外の出身は「最短年限(2年)で卒業することは時間的に大変厳しくなります」 |
「必ず2年で卒業できる」とは、どの大学も書いていません。富山大学の「2年以上4年以内」は、2年で出られる前提と同時に、最長4年いられるという意味でもあります。
⚠️一方で「必ず留年する」も誤りです。3年次編入は2年で卒業できる設計が基本で、延びるのは次のような場合です。
| 延びる理由 | 事前に確かめられるか |
|---|---|
| 専門科目として認定されず、取る量が増える | 確かめられる。要項に条件が書いてある(下関市立大学) |
| 所属コースによって2年を超える | 確かめられる。要項に注記がある(島根大学) |
| ゼミ・卒論など順番に取る科目でつまずく | 入学後の話。履修計画で避ける |
| 時間割が重なって取り切れない | 入学後の話。初年度に前倒しで取る |
上の2つは出願前に分かります。要項を読むか、窓口に聞くかで確定できる部分です。ここを確かめずに出願して、入学してから計算が狂うのがいちばん避けたい形です。
出願前にやること
1. 志望校の要項で「単位認定」の節を探す
募集要項の後半に、入学前修得単位の認定という節があります。試験科目や日程に比べて読まれない部分ですが、2年で卒業できるかどうかはここに書いてあります。
2. 自分の学部が条件に当てはまるか確かめる
経済系以外の学部から編入する人、短大や専門学校から編入する人は特にです。下関市立大学のように出身学部で扱いを分ける大学があり、要項が「あらかじめ問合せてください」と窓口の番号まで載せています。電話1本で確定できます。
3. 教員免許を考えているなら先に言う
山形大学の例のように、教職を希望すると認定の方式そのものが変わる大学があります。あとから言うと履修計画を組み直すはめになります。
4. いまの大学の単位は取り切っておく
認定の対象になるのは、修得済みの単位です。「どうせ編入するから」と落とすと、認定できる分が減ります。そして単位数は出願資格そのものにも関わります。必要な単位数は大学ごとに違い、当メディアが読んだ範囲では50単位から70単位まで幅がありました。
次に読む四年制大学から編入する方法|在籍したまま受けられる。必要な単位数は大学ごとに違う
まとめ|確かめる順番
| 確かめること | どこを見るか |
|---|---|
| 何単位認定されるか | 要項の「入学前修得単位の認定」。60単位前後が目安 |
| ⚠️何の単位として認定されるか | 同じ節。出身学部で分けている大学がある |
| 自動か、1科目ずつか | 包括認定と個別認定。教職希望だと変わる大学がある |
| 2年で卒業できるか | 要項に在学期間が書いてある大学がある(富山大学は2年以上4年以内) |
| 判断がつかないとき | 教務の窓口。要項に番号が載っている大学がある |
単位がムダになるかどうかより、何の単位として引き継がれるかを先に見てください。数が同じでも、2年で卒業できる人とできない人に分かれます。それは出願する前に、要項の1つの節で確かめられます。
自分の学部がどちらに当てはまるのか、要項を読んでも判断しづらいことがあります。











