東北大学経済学部の第3年次編入は、2段階選抜です。第1次選抜はTOEIC L&Rのスコアだけで行われ、そこを通過した人だけが経済数学と経済学の筆答試験に進みます。

募集は経済学科・経営学科あわせて20名。国公立の経済系としては大きな枠です。ただし要項には「選考の結果によっては、合格者数が募集人員に満たない場合があります」と明記されています。

以下は2027年度(令和9年度)の募集要項を読み込んで、選抜方法・日程・出願資格・対策の順に整理したものです。制度が近年変わっているので、東北大学経済学部の公式サイトで最新の要項を必ずご自身で確認してください。

この記事の要点

  • 募集は経済学科・経営学科あわせて20名。所属学科は入学後の演習で決まる
  • 第1次はTOEIC L&Rのみで選抜。第2次が経済数学+経済学の筆答試験
  • TOEICは日本で受験したデジタル公式認定証のみ有効。紙をPDF化したものは受理されない
  • 第1次で落ちれば第2次の検定料は返還される。出願は9月24日〜10月2日

日程|出願は9月24日から

事前審査等の受付 2026年8月18日(火)〜8月28日(金)16時必着(該当者のみ・郵送)
出願受付 2026年9月24日(木)9時〜10月2日(金)16時/オンライン(TAO)
第1次選抜 合格発表 2026年11月13日(金)
第2次選抜(筆答試験) 2026年11月19日(木)
第2次選抜 合格発表 2026年12月11日(金)
編入学手続 2027年3月1日〜8日16時必着
編入学 2027年4月1日

出願はTAO(Admissions Office)というオンラインシステムで行います。証明書のアップロードも出願登録時にまとめて行う方式です。

要項には「登録後は、登録した内容は変更できません」と明記されています。一時保存機能があるので、慎重に確認しながら進めてください。また出願登録と検定料納入の両方を完了しないと出願したことになりません。

選抜方法|TOEICで絞ってから筆答

要項の記述はこうです。

入学者の選抜は、「英語」による第1次選抜と、その合格者を対象に行う「経済数学」及び「経済学の基礎問題」の成績に基づく第2次選抜によって行います。

(2027年度 東北大学経済学部 学部第3年次編入学 学生募集要項)

段階 内容
第1次選抜 英語(TOEIC L&Rのスコア提出のみ)。独自の英語試験は行わない
第2次選抜 経済数学および経済学の基礎問題の筆答試験

TOEICが足りなければ筆答試験に進めない

ここが東北大でいちばん重要な点です。第1次選抜の判断材料はTOEICのスコアだけです。経済数学や経済学をどれだけ仕上げていても、第1次では一切評価されません。

つまり第1次を通れるかどうかは、TOEICのスコアだけで決まります。要項に最低点の記載はありませんが、スコアのみで選抜する以上、相応の水準が必要だと考えるのが自然です。

アドミッション・ポリシーには「英語民間試験のスコアにより基礎的な英語力を確認し、筆答試験では数学と経済学の試験により、数理的能力および経済学の基礎的な学力を確認する」という趣旨の説明があります。英語と専門で、見るものがはっきり分かれています。

第1次を通らなければ筆答試験は採点すらされないため、スコアの上げ方がそのまま合否に直結します。3か月で440点から860点まで積んだときの内訳を出しています。


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編入のTOEICを3か月で440→860にした記録|使った本と周回数

2026年度入学者から制度が変わっている

東北大経済は2025年11月に実施した試験(2026年度4月入学)から選抜制度を変更しています。古い情報を参照すると、以前の方式(英語の独自試験を含む形)で書かれている場合があります。

過去問を使うときは年度に注意してください。要項には「2025年度以降募集の筆答試験問題については、経済学部・経済学研究科ウェブサイトをご覧ください」とあり、公式サイトで公開されています。過去問の使い方は編入試験の過去問の入手方法と使い方にまとめました。


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編入試験の過去問の入手方法と使い方|請求手順と分析のコツ

なお、スコア提出の条件は他大学より細かく指定されています。使えるのはTOEIC L&R のみで、IPテストは不可。提出はデジタル公式認定証に限られ、紙のスコアシートをPDFにしたものは受理されません。さらに日本で受験したスコアのみ有効です。受験を申し込む段階でデジタル発行を選んでおかないと、あとから取り返しがつきません。条件は毎年その年度の要項で確認してください。

実際に受けた人の記録|10年前は「2次が面接」だった

要項から読み取れるのはここまでです。ここからは、この試験を実際に受けた人の話を1つ載せます。当メディアの運営者・直野の後輩で、10年ほど前の受験です。

先に、その当時と現在を並べます。

第1次 第2次
10年ほど前 TOEIC+専門科目 面接
現在(令和9年度) TOEICのスコアのみ 経済数学+経済学の筆答

1次も2次も、中身が入れ替わっています。専門科目が1次から2次へ移り、面接がなくなって筆答になりました。

この大学は、選抜方法を変える

ここがこの記事でいちばん実用的な部分かもしれません。上でも触れたとおり、東北大は2026年度入学者に係る試験から選抜方法を変更しています。そして10年前と比べても、まったく別の形をしています。

つまりこの大学の選抜方法は、変わるものとして扱う必要があります。先輩の体験談も、数年前の過去問も、そのままの形では当てにできません。確認すべきは常にその年度の要項です。「2次は面接らしい」という10年前の情報を信じて準備していたら、当日は経済数学と経済学の筆答だった——ということが、この大学では実際に起こり得ます。

1回目は面接で落ち、2回目に受かっている

その後輩がどうなったかを書きます。

1回目 TOEIC 680点で第1次を通過。第2次の面接で不合格
その年の進路 関西の私立大学へ編入
2回目 その私大に在籍したまま翌年もう一度受験。TOEIC 745〜750点で東北大学へ編入

当時の第1次はTOEICと専門科目でしたから、彼は英語も専門も通ったうえで、最後の面接で落ちています。そして翌年、英語をさらに65〜70点積み上げて合格しました。編入コースに入った頃は300点台だったので、2年で400点以上伸ばしています。

スコアについて1つだけ。現在の要項に最低点の記載はありませんが、当時とはいえ680点で第1次を通過した例があるということです。ただし当時の第1次は専門科目との合算で、現在の「TOEICのスコアのみ」とは判定の仕組みが違います。この数字を現在の基準として扱わないでください。

落ちても、もう一度受けられる

もう一点。彼は2次で落ちた年に関西の私大へ編入し、そこに在籍したまま翌年もう一度受けて合格しています。2回目も駄目なら、その私大を卒業するだけでした。

編入は在籍先を持ったまま挑戦できる試験なので、1年かけて2回目を狙うこともできます。その代わり卒業は1年遅れます。この判断の詳細は仮面浪人と編入はどっち?に、本人のその後も含めて書きました。

出願資格|専門学校は事前審査が必要

大学在学 修業年限4年以上の大学に休学・停学期間を除いて2年以上在学し、62単位以上を修得
短大・高専 短期大学または高等専門学校を卒業した者
学士 学士の学位を取得した者
専修学校 専門課程(修業年限2年以上等の基準を満たすもの)を修了した者 → 事前審査が必要
外国の課程 学校教育における14年以上の課程を修了した者 → 事前審査が必要

いずれも2027年3月31日までに該当見込みの者を含みます。

62単位の数え方に注意

要項には注記があります。「62単位以上」とは、出願者の最終学歴である大学で、進級又は卒業要件に含まれる科目を対象としています。

単純に取得単位を合計すればいいわけではなく、卒業要件に算入される科目に限られます。自由科目や資格関連で卒業要件外の単位がある人は、実際の数字が想定より少なくなる可能性があります。

事前審査は出願より1か月以上早い

専門学校から出願する人、外国の大学等を卒業した人、日本国籍を持たず永住許可もない人は、出願の前に事前審査が必要です。

事前審査の受付 2026年8月18日〜8月28日16時必着(郵送・簡易書留等)
出願受付 2026年9月24日〜10月2日(オンライン)

出願より約1か月早い締切です。しかも事前審査は郵送で、出願自体はオンラインです。手続きが2つに分かれています。

専門学校から国公立を狙うルートについては専門学校から大学編入する方法にまとめました。東北大を候補に入れるなら、この事前審査を早い段階で知っておく必要があります。2027年度についてはすでに受付が終了しているため、次年度以降を検討する場合は8月中旬の締切を前提に逆算してください。

難易度|募集20人に対して、入学者は0人と1人

東北大学経済学部は、編入試験の結果を入試ページに載せていません。ただし大学全体の「入学状況」に、経済学部の下欄として3年次編入の数字が置かれています。分かるのは入学定員・志願者・入学者の3つです。

年度 入学定員 入学志願者 入学者
2024年度 20 10(うち女子6) 0
2025年度 20 5(うち女子2) 1(うち女子0)

出典:東北大学「入学状況」(大学概要)。同ページに「経済学部下欄の数は3年次編入学に係る数字で外数」と注記があります。2024年度は同ページの過去版で確認しました。

合格者数が公表されていないので、倍率は出せない

この表に合格者数はありません。2024年度の入学者0人が、合格者がいなかったからなのか、合格した人が辞退したからなのかは、公表資料からは分かりません。倍率も計算できません。

ただし要項には「選考の結果によっては、合格者数が募集人員に満たない場合があります」と書かれています。募集20人は上限であって、埋めるための数ではありません。志願者が10人いても、基準に届かなければ合格者は出ません。

この2年は、いまと選抜方法が違う

上の2年は、どちらもTOEICで第1次選抜をする前の制度の数字です。東北大は2025年11月の試験から選抜方法を変えました。いまは第1次がTOEIC L&Rだけです。この2年の志願者数から、いまの倍率は読めません。

読み取れるのは、旧制度の2年が受験生どうしの競争ではなく、基準に届くかどうかで決まっていたということです。志願者10人で入学者0人、志願者5人で入学者1人でした。新制度になって志願者が増えたかどうかは、次の公表を見るまで分かりません。

対策の進め方

① TOEICを最優先で仕上げる

第1次選抜がTOEICのみである以上、ここがいちばん重要です。しかもデジタル公式認定証・日本での受験・2024年10月1日以降という条件を全部満たす必要があります。

要項自体が「試験は、実施日及び実施会場が限られていますので、試験の結果が送付されるまでの日数を考慮のうえ、試験の開催日時等を早めに確認し、受験してください」と注意を促しています。10月2日の出願締切から逆算してください。夏までにスコアを確定させるのが安全です。目標設定は大学編入の英語対策|TOEICは何点必要かを参考にしてください。

② 経済数学を独立した科目として準備する

第2次選抜の科目は「経済数学」と「経済学の基礎問題」です。経済学とは別に、数学が独立した科目として課されます。

この構成は神戸大学経済学部(数学100点+経済学100点)と近く、両校の対策はかなりの部分が共通します。逆に数学を課さない大学だけを見ていた人にとっては、追加の負担になります。

③ 経済学は基礎の徹底で足りる

科目名が「経済学の基礎問題」とされている点に注目してください。応用的な論点より、ミクロ・マクロの基礎を確実に処理できるかが問われる形だと読めます。

標準的な教科書を1冊決めて往復し、計算問題を手で解き切る練習を積むのが基本です。進め方は編入試験の経済学の勉強法にまとめました。

④ 学科は入学後に決まる

ひとつ気が楽になる情報です。東北大経済は経済学科と経営学科をあわせて募集しており、要項にはこうあります。

所属学科は、入学後に所属する演習がいずれの学科に属しているかによって決まります。演習以外の履修科目、必要単位等は両学科とも同じです。

出願段階で学科を選ぶ必要がありません。入学後にゼミを選ぶ過程で決まる仕組みなので、「経済か経営か決めきれない」という人にとっては出願しやすい設計です。

併願の組み方|同じ型の大学が増えている

東北大の「スコアで絞ってから本番」という方式は、いま国公立で広がりつつあります。

大学 第1次で見るもの 第2次
東北大 経済 TOEIC L&R 経済数学+経済学(筆答)
京都大 経済 TOEFL iBT+出願書類 口述試験
大阪大 経済 ERE+英語+書類 口述試問
滋賀大 経済 TOEIC+出願書類 個人面接

共通しているのは「出願時点の材料で受験者を絞る」という考え方です。逆に言えば、これらの大学ではスコアや書類が間に合わない時点で勝負が終わります。

日程は他校と重ならない

第2次選抜の11月19日は、名大(10月30日)、神戸大(11月3日)、京大の口述(11月6日)、龍谷(11月8日)、横国(11月16日)のいずれとも別の日です。出願も9月24日〜10月2日で、神戸大経済(9月17日〜24日)や京大(9月25日〜10月7日)と部分的に重なる程度です。

日程上は併願しやすい大学だと言えます。全体のカレンダーは編入試験に落ちたらどうなる?併願パターンと出願戦略にまとめてあります。

神戸大と組むと対策が重なる

準備の効率という観点では、神戸大経済との併願が理にかなっています。どちらも数学と経済学を課し、英語はTOEIC L&R。3科目とも共通です。

ただし神戸大はTOEIC L&Rのデジタル公式認定証または原本を認めるのに対し、東北大はデジタル公式認定証しか認めません。提出物の条件だけは個別に確認してください。

第1次で落ちれば検定料が戻る

2段階選抜ならではの仕組みがあります。第1次選抜で不合格になった場合、第2次選抜にかかる入学検定料は返還されます。第1次合格者発表後に、TAO上で返還手続きの案内が出ます。

同じ2段階型の京都大学にも同様の返還制度があります(23,000円)。書類やスコアで絞る方式の大学では、こうした扱いが標準になりつつあります。

まとめ

経済学科・経営学科あわせて20名。学科は入学後に決まる
選抜 第1次=TOEIC L&Rのみ/第2次=経済数学+経済学
TOEICの条件 日本で受験・デジタル公式認定証のみ・IP不可・2024年10月1日以降
締切 出願 2026年10月2日16時/第2次11月19日/発表12月11日
注意 専門学校・外国の大学等からは8月末までに事前審査が必要

東北大経済の編入は、「TOEICで第1次を通り、数学と経済学で決まる」試験です。第1次を通らなければ筆答試験の実力を見てもらう機会すらないので、英語を後回しにする戦略は成り立ちません。

逆に、TOEICを早めに確定させて数学と経済学に時間を注げる人にとっては、準備の順番が明快な試験でもあります。神戸大経済と科目構成がほぼ重なるため、2校を軸に据えると対策の無駄が出ません。

運営者の1人は神戸大学経済学部へ編入しており、数学と経済学とTOEICという3科目型の準備は、実際に通ってきた道です(運営者プロフィールはこちら)。どの順番で仕上げるかは、いまの学年と手持ちのスコアで変わります。

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