経済・経営系の編入で英語がどう問われるかは、大学によって3通りに分かれます。TOEICなどのスコアを出願時に提出する大学、TOEFLしか受け付けない大学、そして当日に英語の筆記試験を課す大学です。当メディアが要項を確認している13校のうち、11校がTOEICを使えます。
そのうえで先に結論を書きます。要項に書かれた出願要件は590〜650点ですが、その数字を超えただけでは勝負になりません。運営者2名の判断として、目標は最低750点。名古屋大学・大阪大学・神戸大学経営学部を狙うなら800点です。理由は、要件を設けていない大学ほどスコアがそのまま点数になるからです。
この記事の要点
- 経済系13校のうちTOEICが使えるのは11校。京都大学はTOEFL iBTのみ、龍谷大学は当日筆記でスコア提出が不要
- 要項の出願要件は590〜650点。ただし要件を設けていない大学が多く、そこではスコアがそのまま得点になる
- 目標は最低750点。名古屋大学・大阪大学・神戸大学経営学部は800点(運営者2名の判断)
- 英語の締切は試験当日ではなく出願日。最も早い滋賀大学は8月20日に出願が始まる
どの大学でTOEICが要るか
当メディアが2027年度(令和9年度)の要項を確認している13校を、英語の扱いで並べます。「目標ライン」は要項の数字ではなく、運営者2名が現実的だと考える目安です。
| 大学 | 使える試験 | 要項の要件 | 目標ライン |
|---|---|---|---|
| 神戸大 経済 | TOEIC L&R のみ | なし(300点中100点に換算) | 750 |
| 神戸大 経営 | TOEFL・TOEIC L&R・IELTS | なし(100点に換算) | 800 |
| 名古屋大 経済 | TOEIC・TOEFL | TOEIC 590/TOEFL iBT 61 | 800 |
| 大阪大 経済 | TOEFL・TOEIC・IELTS から1種類 | 点数の明示なし | 800 |
| 滋賀大 経済 | TOEIC L&R のみ | なし(1次選考の200点) | 750 |
| 横浜国立大 経済 | TOEFL iBT・TOEIC L&R | TOEIC 620/TOEFL 61(バンド3.5) | 750 |
| 東北大 経済 | TOEIC L&R のみ | 点数の明示なし(1次選抜はこれだけ) | 750 |
| 広島大 経済 | TOEIC L&R・TOEFL・英検など民間8種から1つ | 200点に換算(換算方法・最低スコアとも記載なし) | — |
| 同志社大 商 | TOEFL・TOEIC L&R・IELTS | TOEIC 650/TOEFL 4/IELTS 5.5 | 750 |
| 関西大 商 | TOEIC L&R・英検 | TOEIC 630/英検準1級 | 750 |
| 近畿大 経済 | TOEIC(4技能)・TOEFL・英検・IELTS | みなし得点に換算 | 750 |
| 京都大 経済 | TOEFL iBT のみ | 点数の明示なし | 対象外 |
| 龍谷大 経済 | スコア提出なし | 当日の英語筆記 | 対象外 |
出典:各大学の2027年度(令和9年度)第3年次編入学学生募集要項および入試情報ページ(2026年9月2日確認)。近畿大学・龍谷大学は本記事の作成時点で公式の最新要項を確認できていないため、当メディアの各大学記事の記載に基づいています。近畿大学の要項は大学窓口での配布、龍谷大学の2027年度入試要項は9月末の公開予定です。出願前には必ず志望校の最新要項でご確認ください。
どの試験のスコアが使えるかは、大学ごとにかなり違います。神戸大学経済学部・滋賀大学・東北大学はTOEIC L&Rしか受け付けません。逆に神戸大学経営学部・大阪大学・同志社大学は複数から選べます。名古屋大学もTOEFLで出願でき、TOEICとTOEFLの両方を出して高いほうを採用してもらうこともできます。関西大学と近畿大学は英検も使えますが、同志社大学商学部では英検が使えません(英検が選べるのは文学部系の学科です)。英検やTOEFLで出願できる大学を要項で1校ずつ確かめた結果は、編入試験は英検で受けられる?にまとめています。
提出物の形式も大学ごとに違います。東北大学は「デジタル公式認定証のみ、紙をPDF化したものは不可」、横浜国立大学は逆に「原本のみ、コピー不可」です。学校で受けた団体受験(IPテスト)は、確認した範囲ではどの大学も認めていません。細かい条件は志望校の記事にまとめてあるので、出願の直前にそちらで確認してください。
英語は合否のどれくらいを占めるのか
750点という数字の根拠は、英語が総得点のなかで持つ重みです。要項で配点が分かる大学を並べると、経済系の編入では英語の比重がかなり大きいことが分かります。
| 大学 | 英語の配点 | 全体に占める割合 |
|---|---|---|
| 神戸大 経済 | TOEICを100点に換算(数学100+経済学100と合わせて300点) | 3分の1 |
| 神戸大 経営 | TOEFL・TOEIC・IELTSを100点に換算(専門2科目200点と合わせて300点) | 3分の1 |
| 滋賀大 経済 | 1次選考でTOEIC 200点+出願書類300点 | 1次の5分の2 |
| 東北大 経済 | 1次選抜はTOEICのスコアのみで行う | 1次は英語だけ |
| 名古屋大 経済 | 出願要件かつ選抜の評価材料(配点は非公表) | 当日は1科目のみ |
| 横浜国立大 経済 | 出願要件。当日は経済学の筆記 | 要件を満たせば当日勝負 |
出典:各大学の2027年度(令和9年度)第3年次編入学学生募集要項(2026年9月2日確認)。割合は要項に記載された配点から算出したもので、大学が公表している比率ではありません。
神戸大学は経済学部も経営学部も、英語だけで総得点の3分の1が決まります。数学と経済学を仕上げても、英語が200点台のままだと100点満点のうち半分も取れない計算になります。東北大学に至っては、第1次選抜がTOEICのスコアだけです。専門科目をどれだけ勉強していても、そこに進めなければ採点されません。
逆に横浜国立大学のように「要件さえ満たせば、あとは当日の筆記で決まる」大学もあります。同じ経済系でも、英語に何時間を割くべきかは志望校によって変わるということです。ただし、要件だけの大学も含めて考えると、750点を1つ持っていれば全パターンに対応できます。これが目標を1つに絞れる理由です。
目標は750点。名古屋大学・大阪大学・神戸大学経営学部は800点
ここがこの記事の本題です。この数字は大学が公表しているものではなく、運営者2名の判断です。根拠を順に説明します。
なぜ750点なのか
上の表を見ると、点数を明示しているのは名古屋大学(590)・横浜国立大学(620)・関西大学(630)・同志社大学(650)の4校だけです。この数字だけを見ると「650あれば足りる」と読めます。
しかし残りの大学は基準を設けていないぶん、提出したスコアがそのまま得点になります。神戸大学経済学部は300点満点のうち100点、滋賀大学は1次選考の200点、近畿大学はみなし得点への換算です。ここでは「基準を満たしたかどうか」ではなく、他の受験者と何点差がつくかで効いてきます。650点で出願できても、800点台の受験者と並べば英語で差を作られる側になります。
実際、滋賀大学を受けた運営者の同級生5人のスコアは745〜860点で、745点の人は補欠合格でした。10年以上前・母数5人・本人の記憶による話なので合格ラインとして扱うことはできませんが、要件が「なし」の大学で700点台前半だとどうなるかの一例にはなります。
そして編入試験は科目が少なく、1科目の比重が大きい試験です。600点台のスコアで戦おうとすると、専門科目でほぼ満点を取らないと届きません。それを狙うより、事前に確実に積み上げられる英語で750点を作るほうが、はるかに現実的です。
なぜこの3校は800点なのか
配点が特別に高いからではありません。この3校は志願者の層が厚く、上位で競り合う試験だからです。ここも運営者2名の判断で、大学が合格者のスコアを公表しているわけではありません。根拠は3校それぞれで違います。
| 名古屋大 経済 | 運営者と同じ年に編入した11〜12人のスコアは860点が真ん中で、低い人でも800点前後だった。出願要件は590点だが、実際に並ぶ相手はその水準(10年以上前・本人の記憶による範囲の話) |
|---|---|
| 大阪大 経済 | 要項に「選考の結果、募集人員にかかわらず合格としないことがあります」と明記されている。実際に募集10人に対して合格者が3年とも10人に届かず、3人に絞った年もある |
| 神戸大 経営 | 当日の試験は専門2科目だけで、英語は事前提出のスコアを100点に換算する。当日に英語で挽回する場面がなく、専門2科目だけで差をつけるのは簡単ではない |
出典:2027年度 大阪大学経済学部 第3年次編入学学生募集要項、令和9年度 神戸大学経営学部 第3年次編入学学生募集要項(いずれも2026年9月2日確認)。名古屋大学のスコア帯は運営者本人の記憶によるもので、大学の公表値ではありません。合格者のスコア帯を公表している大学はなく、大阪大学・神戸大学経営学部については当メディアも実測を持っていません。
大阪大学と神戸大学経営学部を800点側に置いたのは、選抜の厳しさと、受験する層が名古屋大学と重なるからです。この2校を受ける人は、名古屋大学や神戸大学経済学部も一緒に受けることが多い。同じ相手と競るのに、英語だけ50点低い状態で臨む理由がありません。750点でも出願はできますが、そこを目標に据えると英語で先行されます。
※吉川が神戸大学を受験した2014年は、英語が当日の個別筆記試験で、TOEICの提出はありませんでした。現在の神戸大学経済学部は提出したTOEIC L&Rを100点に換算する方式です。同じ大学でも10年で仕組みが入れ替わっています。
750点に届きそうにないときの選択肢
ここまで読んで「750点は無理そうだ」と感じた人のために、別の選択肢も書いておきます。
- 龍谷大学経済学部はスコアの提出を求めません。英語は当日の筆記試験なので、スコアが基準に届かない人でも受験できます
- 関西大学商学部と近畿大学経済学部は英検も使えます。関西大学は英検準1級、近畿大学はTOEIC以外の複数の試験をみなし得点に換算します。TOEICの形式が合わない人には別ルートになります
- ただし同志社大学商学部では英検が使えません。英検が選べるのは文学部系の学科だけです
とはいえ、これらは選択肢を1〜2校に狭める判断でもあります。750点を作れば11校すべてが視野に入ることを考えると、まずは英語に時間を使うほうが、結果的に選べる大学は増えます。
京都大学だけTOEFL、龍谷大学だけ当日筆記
2校だけ、TOEICを積んでも使えません。
京都大学経済学部はTOEFL iBTしか受け付けず、TOEICでは出願できません。しかも2024年10月1日以降に受験したものに限られ、MyBestスコアは使えず、ETSから大学へ直送する手続きが必要です。TOEICを伸ばしてきた人が急に切り替えられる試験ではないので、京大を視野に入れるなら早い段階で決めておく必要があります。
龍谷大学経済学部は逆に、スコアの提出を求めません。英語は当日の筆記試験です。スコアが基準に届かなかった人でも出願できる、数少ない選択肢になります。ただし当日に英文を読み切る力が別途必要で、スコア提出型の対策とは中身が変わります。
1つのスコアで何校に出せるか
英語対策を最優先にすべき最大の理由がこれです。750点を1つ作れば、TOEICが使える11校すべてに出願できます。
要件が明示されている4校のうち最も高いのは同志社大学の650点なので、750点あればその4校は問題なく満たせます。要件のない神戸大学・滋賀大学・近畿大学では、その750点がそのまま得点として加算されます。つまり1回スコアを作れば、志望校を後から増やしても英語の準備をやり直す必要がありません。専門科目のように大学ごとに対策が分かれる部分とは、性質がまったく違います。
併願の組み方そのものについては、日程の重なりや出願時期をまとめた記事があります。
いつ取るか|出願日から逆算する
編入の英語で最も多い失敗は、締切を試験日だと思い込むことです。スコアは出願時に提出するので、実際の締切は出願日になります。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 出願の6か月前まで | 1回目を受験して現在地を測る。ここで目標との差が分かる |
| 3〜5か月前 | 伸ばす期間。2回目・3回目を受けてスコアを更新する |
| 2か月前 | 最後の受験。結果が出るまでの期間を考えると、ここが実質の最終回 |
| 出願 | 提出。ここが英語の締切 |
逆算の起点になる出願日は、大学によって1か月以上ずれます。最も早いのは滋賀大学の8月20日で、神戸大学は9月中旬、東北大学は9月下旬、名古屋大学・大阪大学・京都大学は10月上旬です。滋賀大学を受けるなら、夏休みが終わってから動き出すのでは間に合いません。
TOEICの公開テストは月に1〜2回で、申し込みから結果が出るまでに1か月前後かかります。受けられる回数は思っているより少ないので、複数回受験を前提に早めに組んでください。スコアの有効期限も大学ごとに違います(滋賀大学は期間で指定、神戸大学経済学部は2024年11月1日以降、東北大学と同志社大学は2024年10月1日以降)。
どう伸ばすか
目標が750点や800点だと聞いて、遠く感じた人もいると思います。運営者の一人は3か月で440点から860点まで上げて名古屋大学経済学部に編入し、最終的に965点まで到達しています。
その中身は精神論ではありません。使った教材は実質4冊だけで、Partごとにかけた周回数がまったく違います。約15周した本もあれば、2〜3周でやめた本もある。月ごとのスコア推移(440→680→745→860)と、その各段階で何をやっていたかを別記事に具体的に書きました。どう伸ばすかを知りたい人は、そちらが本編です。
次に読む編入のTOEICを3か月で440→860にした記録|使った本と周回数
運営者2人に共通しているのは、専門科目より先に英語を始めていたことです。専門は2年目からでも間に合いますが、英語は積み上げた時間がそのまま出ます。そして今は英語の締切が試験当日ではなく出願日になっているので、動き出しは当時よりさらに早くする必要があります。
まとめ
この記事の内容を、順番に確認できる形にしておきます。
| 1 | 志望校でTOEICが使えるかを確認する(京都大学はTOEFLのみ、龍谷大学は当日筆記) |
|---|---|
| 2 | 目標は750点。名古屋大学・大阪大学・神戸大学経営学部なら800点 |
| 3 | 志望校の出願日を調べる。そこが英語の締切 |
| 4 | 出願日から逆算して、受験回数を確保できる日程を組む |
| 5 | スコアの有効期限と提出形式を志望校の要項で確認する |
英語は、編入対策のなかで唯一「試験当日を待たずに確定させられる」科目です。専門科目の仕上がりが読めないぶん、先に英語を終わらせておくと、残りの時間をすべて専門に回せます。
今のスコアから何をすべきか、一緒に整理します
国公立の経済・経営系学部への編入を目指す方向けに、初回30分の無料相談と1週間のLINE無料相談を実施しています。TOEICを3か月で440点から860点まで伸ばした編入経験者が、今の点数と志望校の出願日から、間に合う計画を一緒に引きます。





