第一志望に落ちて、いまの大学に通いながらも、「もう一度受験してやり直すべきじゃないか」という気持ちが消えない——。そんな中で仮面浪人という言葉にたどり着き、「仮面浪人と編入、どっちがいいんだろう」と検索したのではないでしょうか。
そこで仮面浪人と編入を同じ条件で正直に比較してみます。先に結論を言うと、多くの人にとって合理的なのは編入です。理由は1つで、落ちたときに失うものの大きさがまったく違うからです。ただし仮面浪人が向いている人もいるので、そこも隠さず書きます。
この記事の要点
- 仮面浪人は「1年生からやり直し」、編入は「2〜3年次から入り直し」
- 仮面浪人は落ちると1年を消費。編入は落ちても今の大学をそのまま卒業できる
- 編入の試験科目(英語+専門)は大学の勉強と重なり、両立しやすい
- どうしても「その大学のその学部」しか考えられないなら仮面浪人にも合理性がある
仮面浪人とは|メリットとデメリット
仮面浪人は、いまの大学に在籍したまま、翌年の一般入試をもう一度受ける選択です。合格すれば1年生から入り直します。
メリットは、一般入試なので大学・学部の選択肢が広いこと。デメリットは、大学の授業・単位と受験勉強が完全に別物で、両立の負担が非常に重いことです。共通テストと二次試験の多科目を、高校時代のような環境なしで仕上げなければなりません。そして落ちた場合、消費した1年と受験勉強は、大学の成績にも就活にもほとんど残りません。
編入とは|2〜3年次から入り直す制度
編入は、いまの大学で取った単位を持って、別の大学の2〜3年次に入り直す制度です。1年生からやり直さないので、卒業までの時間を失いにくいのが特徴です。制度の全体像をまだ押さえていない場合は、大学編入とは?仕組み・メリット・デメリットを解説から読んでみてください。
仮面浪人と編入を徹底比較
| 仮面浪人 | 編入 | |
|---|---|---|
| 合格後 | 1年生からやり直し(最大2年遅れ) | 2〜3年次へ(遅れなし〜最小限) |
| 試験科目 | 共通テスト+二次の多科目 | 英語(TOEIC等)+専門科目が中心 |
| 大学生活との両立 | 授業と受験勉強が完全に別物 | 経済学部なら大学の勉強と試験対策が重なる |
| 落ちた場合 | 1年を消費。勉強の蓄積も残りにくい | 今の大学に在籍のまま。TOEIC・専門知識・成績が残る |
| 選べる大学・学部 | ほぼ制限なし | 編入を実施する大学・学部に限られる |
分かれ目は「落ちたときに何が残るか」
受験は結果が読めません。だからこそ、挑戦を比べるときは「受かったときの嬉しさ」ではなく「落ちたときに何が残るか」で考えるべきです。
仮面浪人で落ちると、残るのは「1学年下の同級生と過ごす2年目」と、大学の単位の遅れです。一方、編入で落ちても、あなたは今の大学の3年生のままです。しかも対策で積んだTOEICスコアは就活でそのまま使えますし、経済学の勉強は学部の成績(GPA)に、維持した成績は次の挑戦の出願書類に活きます。浪人の勉強が無駄になるという話ではありません。違うのは、落ちたときに手元に何が残るかです。編入で落ちても、TOEICのスコアと、積み上げた専門知識は残ります。準備そのものも、面接で話せる経験になります。この「学歴を変える手段の比較」は学歴を逆転する方法は3つ|再受験・編入・大学院を比較でも詳しく整理しています。
もう1つ、大学院を考えている人には、その対策にもなります。編入試験と大学院入試で問われる範囲は、大きくは変わりません。当メディアの運営者・直野は、編入試験が終わった直後に大学院入試の問題を解いてみて、解ける問題が多いことを確かめています。編入試験の問題をきちんと解ける状態まで持っていけば、そのまま院試でも通用する部分があるということです。
※直野が実際に解いて確かめたのは経済学です。ほかの分野でも同じかどうかは分かりません。また、出題は大学・研究科によって変わります。
編入した先から、もう一度編入した人がいる
この「落ちても残る」が実際どう効くのか、ひとつ実例を載せます。当メディアの運営者・直野の後輩の話です。
| 大学受験 | 1浪して予備校へ。その後、専門学校の編入コースに入る |
|---|---|
| 1回目の編入試験 | 東北大学の第1次選考は通過。第2次で不合格 |
| その年の進路 | すでに1浪していたこともあり、諦めて関西の私立大学へ編入 |
| 2回目の挑戦 | その私大に在籍したまま、翌年もう一度編入試験を受ける |
| 結果 | 東北大学へ編入。卒業後は大手ゼネコンへ |
在籍したまま、もう一度受けられる
ここが仮面浪人との決定的な違いです。彼は関西の私大の学生のまま、翌年の編入試験を受けています。もし2回目も駄目なら、そのままその大学を卒業するだけでした。
仮面浪人で同じことをすると、失敗したときに残るのは1年の遅れだけです。編入なら在籍先を残したまま、上を狙い直せます。上で書いた「落ちたときに何が残るか」は、こういう形で効きます。
「あと一歩」を翌年に持ち越せる
1回目に落ちたのは第2次選考でした。第1次は通っています。当時の東北大は第1次がTOEICと専門科目、第2次が面接という組み方だったので、彼は英語も専門も通ったうえで、最後の面接で落ちています。
ちなみに、そのとき第1次を通過したスコアは680点でした。※東北大の選抜方法はその後も変わっており、現在は第1次がTOEICのみ、第2次が経済数学と経済学の筆記です。当時の話としてお読みください。
そこから1年で、英語はさらに伸ばしています。
| 編入コースに入った頃 | TOEIC 300点台 |
|---|---|
| 1回目の受験(第1次を通過) | TOEIC 680点 |
| 2回目の受験(東北大に合格) | TOEIC 745〜750点 |
付け加えると、彼も直野も、専門学校では5クラス中4番目のクラスにいました。そこから東北大学と名古屋大学へ進んでいます。入口のクラス分けは、行き先を決めていません。
代償は2年。しかし、そのことが就職で不利にはならなかった
いい話ばかりではありません。もう一度挑戦した分、卒業は1年遅れました。大学受験の1浪と合わせると、同学年より2年遅れて社会に出たことになります。
それでも就職は詰まりませんでした。大手自動車メーカー2社の最終選考まで進み、最終的に大手ゼネコンへ進んでいます。
付け加えると、直野自身も遅れている側です。浪人はしていませんが、最初の大学を辞めて3年働いてから編入しているので、同学年より3年遅れて社会に出ています。その就職活動は8社受けて全通過、3社を辞退して5社から内定という結果でした。経緯は大学中退から名古屋大学経済学部へに書いています。
| 社会に出た時期 | 就職 | |
|---|---|---|
| 後輩 | 同学年より2年遅れ(1浪+編入の再挑戦) | 大手自動車メーカー2社の最終選考/大手ゼネコンへ |
| 直野 | 同学年より3年遅れ(中退して3年働いた) | 8社全通過・5社内定 |
準備をほとんどせずに8社を通過した就活の中身は、大学編入のメリットとデメリットで直野本人が振り返っています。
2人とも遅れていて、2人とも詰まっていません。もちろん2例だけの話で、遅れが何の影響もないと言うつもりはありません。ただ、「もう1年かかるなら諦めよう」と考える前に、その1年で何が変わるかを先に計算してみる価値はあります。
ただし、誰にでも勧める話ではありません
この選択が成り立ったのは、第1次を通過していて「あと一歩」の位置にいたこと、そして本人が諦めきれていなかったことの2つがあったからです。
今の大学に不満がないなら、1年を追加で払う理由はありません。編入で入った先が自分にとって十分なら、そこで学び切るほうが早く前に進めます。それでも、もし諦めきれない相手がいるなら、編入にはもう一度だけ受け直せる余地がある——覚えておいて損はないと思います。
仮面浪人が向いている人も正直に書く
公平のために書いておくと、次のような場合は仮面浪人(再受験)にも合理性があります。
- 行きたい学部が編入を実施していない(医学部医学科など、編入枠が極端に限られる分野)
- 「その大学のその学部で1年生から4年間過ごすこと」自体に強いこだわりがある
- 大学1年生の春など、時間の損失をまだ小さく抑えられる時期にいる
逆に、「学歴を上げたい」「環境を変えたい」「経済・経営系で学びたい」が動機の中心なら、落ちたときの損が小さいぶん、編入のほうが向いています。
経済・経営系なら、編入の受け皿は広い
編入の弱点は「実施している大学・学部が限られる」ことですが、経済・経営・商学系はその中で最も選択肢が多い分野のひとつです。神戸大学・名古屋大学などの国公立から、関関同立・産近甲龍まで、ルートは複数あります。候補になる大学名は経済学部に編入できる大学一覧|国公立中心で確かめられます。
関関同立に届かなかった悔しさを抱えている人は関関同立に落ちた人の編入リベンジ、立命館・同志社が忘れられない人は立命館・同志社への編入リベンジもあわせて読んでみてください。準備を始める時期は大学編入はいつから準備すべき?学年別スケジュールで逆算できます。
まとめ|悔しさは、リスクの低い方法で晴らす
受験の悔しさが残っているのは、あなたがそこで本気だった証拠です。その気持ちをもう一度挑戦に変えるなら、失敗しても現状維持で、成功すれば学年の遅れなく環境を変えられる編入は、仮面浪人より多くの人に合った再挑戦の形です。
当メディアは、専門学校から神戸大学・名古屋大学の経済学部へ編入した2名が運営しています。受験し直す道ではなく編入を選んだ側の視点でお答えします(運営者プロフィールはこちら)。「自分の場合は仮面浪人と編入どっちが合うか」という段階の相談でも構いません。状況を聞いたうえで、正直にお答えします。
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