横浜国立大学経済学部の第3年次編入は、首都圏の国立大学で経済系に編入したい人にとって中心的な選択肢です。選抜は専門科目(経済学)の筆記・英語外部スコア・書類審査で構成され、一般選抜では面接がありません。しかも専門科目は「経済学Ⅰ」「経済学Ⅱ」から1科目を選ぶ方式で、選び方しだいで数学を避けることも、ミクロ・マクロで勝負することもできます。

この記事では、令和9年度(2027年度)の募集要項と過去問の傾向をもとに、横国経済の第3年次編入の募集・出願資格・科目選択・対策を整理します。数値は公式要項の公表内容に基づきますが、出願前には必ず最新の要項を確認してください。

この記事の要点

  • 募集は経済学科15名(うち社会人選抜は若干名)。国立経済としては手堅い枠
  • 一般選抜は専門科目(経済学)の筆記+英語外部スコア+書類審査。面接はなし
  • 専門科目は経済学Ⅰ・Ⅱから1科目選択。経済学Ⅰなら数学を避けられる
  • 英語はTOEIC L&R 620点/TOEFL iBT 61点などの外部スコアを出願時に提出

試験概要|募集人員と選抜方法

横国経済の第3年次編入は、経済学科で15名を募集します(うち社会人選抜が若干名)。一般選抜は学力検査(専門科目)と書類審査で行われ、英語は当日試験ではなく外部スコアの提出で評価されます。

要素 内容
専門科目(学力検査) 経済学Ⅰ・経済学Ⅱから1科目を選択。試験日 2026年11月16日 9:00〜10:00
英語(外部スコア) TOEIC L&R 620点/TOEFL iBT 61点(バンド3.5)などを出願時に提出
書類審査 出願書類を総合的に審査

ポイントは2つ。1つは英語がスコア提出制で、出願時までに確定していなければならないこと。もう1つは、当日の専門筆記が1科目に絞られていることです。範囲が明確なぶん、逆算して準備しやすい試験といえます。

科目選択の戦略|経済学Ⅰと経済学Ⅱ、どちらを選ぶか

横国経済の一番の特徴が、専門科目を「経済学Ⅰ」「経済学Ⅱ」から選べる点です。要項では、それぞれの出題範囲が次のように定められています。

選択科目 出題分野 向いている人
経済学Ⅰ 経済原論・経済史・経済政策の基礎 数学を避けたい/制度・歴史・政策の理解に強い人
経済学Ⅱ ミクロ経済・マクロ経済・経済数学の基礎 ミクロ・マクロの理論と計算で得点したい人

ここは戦略が分かれるところです。数学に不安があるなら経済学Ⅰを選べば、経済数学を避けて経済原論・経済史・経済政策で勝負できます。逆に、ミクロ・マクロの理論演習に自信があるなら経済学Ⅱのほうが、体系的な学習がそのまま得点につながります。自分の既習範囲と得意分野を踏まえ、早い段階でどちらを狙うか決めて対策を一本化するのが得策です。

選抜のカギ|専門筆記とTOEIC

横国経済の対策は、要するに「経済学の専門筆記」と「英語スコア」の2本柱です。専門科目は選んだ1科目を答案として書けるところまで固め、英語は出願時までにスコアを確定させます。TOEIC L&R 620点前後が一つの目安で、英語は伸ばすのに時間がかかるため最優先で取り切るのが定石です(大学編入の英語対策|TOEICは何点必要か)。ミクロ・マクロの学び方は編入試験の経済学の勉強法にまとめています。


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大学編入の英語対策|TOEICは何点必要か

過去問と出題傾向|まず1年分を手に入れる

横国経済は過去問が比較的入手しやすい大学です。大学が開示する過去問のほか、予備校の配布分やフリマ等でも複数年分が流通しています。まずは1〜数年分を手に入れ、問題数・時間配分・出題形式を体で把握するところから始めましょう。過去問の入手手順と使い方は編入試験の過去問の入手方法と使い方で解説しています。

経済学Ⅱ(ミクロ・マクロ・経済数学)で受ける場合、過去に問われてきた代表的なテーマは次のとおりです(傾向の一例)。

分野 頻出テーマの例
ミクロ経済学 消費者理論、生産者理論、市場均衡、ゲーム理論 など
マクロ経済学 経済成長モデル、コブ=ダグラス型生産関数 など

いずれも標準的な編入・学部レベルの理論です。教科書で基礎を固めたうえで、過去問で「この大学がどの深さ・どの形式で問うか」を掴む——この順番が効率的です。1周目は時間を気にせず解き、2周目以降は本番の時間を意識し、間違えた箇所とミスの傾向を徹底的に潰していきます。

出願資格|「62単位以上」など

出願できるのは、次のいずれかの基礎資格を持つ人です(一般選抜では英語の要件も併せて満たす必要があります)。

  • 学士の学位を取得した者(取得見込みを含む)
  • 短期大学・高等専門学校を卒業した者(2027年3月卒業見込みを含む)
  • 4年制大学に2年以上在学し、2年次までの課程を修了して62単位以上を修得した者(見込みを含む)

大学在学中から狙う場合の単位要件は62単位以上で、標準的なラインです。国立の代表格として、関西なら神戸大学 経済学部 編入があります。首都圏の横国と関西の神戸を軸に、経済学部に編入できる大学一覧大学別の編入情報で併願先を広げるのがおすすめです。

日程

出願書類受付 令和8年(2026年)10月14日(水)〜10月20日(火)
試験日(一般・社会人選抜) 令和8年(2026年)11月16日(月)
合格者発表 令和8年(2026年)12月17日(木)

難易度と立ち位置|首都圏の国立経済編入

横国は編入学試験の実施状況を毎年公表しています。一般選抜と社会人選抜を分けて出しているので、一般の倍率だけを取り出せます。

経済学科(募集15) 令和6年度 令和7年度 令和8年度
志願者(一般) 116 103 82
受験者(一般) 102 80 70
合格者(一般) 14 15 13
実質倍率(一般) 7.3倍 5.3倍 5.4倍
社会人選抜(別枠) 志願5・合格2 志願0・合格0 志願4・合格2

出典:横浜国立大学「編入学試験実施状況」令和6・7・8年度。実質倍率は一般選抜の受験者数÷合格者数で算出しています。社会人選抜は別枠のため分けて記載しました。

3年とも5〜7倍。前年から今年が読める数少ない大学

ここが横国の特徴です。実質倍率が7.3倍・5.3倍・5.4倍と、大きくは動いていません。そして合格者は14人・15人・13人で、募集人員の15人にほぼ一致しています。

編入試験では珍しいことです。大阪大学は募集10人に対して合格が3〜9人で振れ、枠が埋まった年がありません。同志社大学 商学部は実質倍率が1.6倍から7.2倍まで動きます。横国は募集人員どおりに合格を出す運用で、そのぶん見通しが立てやすいといえます。

受験する側から見ると、「15人の枠に対して70〜100人が受けにくる」という構図が毎年ほぼ同じということです。年による当たり外れを期待できないかわりに、必要な水準も年ごとにぶれません。過去問で測った手応えが、そのまま今年の目安として使えます。

志願者は3年で116人から82人へ減っている

もう一点、志願者が減少しています。116 → 103 → 82人で、3年で3割ほど減りました。受験者数も102 → 80 → 70人です。

合格者数が変わっていないので、結果として倍率は7.3倍から5倍台へ下がっています。ただし2年連続で5倍台に落ち着いているだけで、これがさらに下がると考える根拠はありません。減少が続くかどうかは、次の年度の公表を見るまで分かりません。

横国経済は、首都圏で国立の経済系編入を狙うなら外せない一校です。当日の筆記が経済学1科目で、英語はスコア提出制。準備すべき範囲が明確で逆算しやすいのが特徴です。経済学Ⅰを選べば数学を回避できるので、当日の計算を避けて記述で勝負したい人にも選べます。関西の神戸大・大阪大と対になる「首都圏の本命」として置き、地域をまたいだ併願を組むのも有効です。

対策の進め方

① 選択科目を早く決める

経済学Ⅰ(経済原論・経済史・経済政策)か、経済学Ⅱ(ミクロ・マクロ・経済数学)か。どちらで受けるかを早く決め、対策を一本化することが最初の一手です。迷って両方に手を広げると中途半端になります。

② 過去問で「深さと形式」をつかむ

基礎を固めたら、早めに過去問へ。横国は過去問が入手しやすいので、本番の出題形式・分量・時間感覚を早い段階で体に入れておくと、逆算の精度が上がります。

③ TOEICを出願前に確定させる

TOEIC L&R 620点前後が目安。出願時に原本(またはQRコード付きデジタル公式認定証)が必要で、IPテストやBridgeは不可です。有効期限は出願最終日から2年以内なので、早めに条件を満たすスコアを取り切っておきます。

620点にまだ届いていないなら、どこから手を付けるかで結果が変わります。Partごとに周回数を変えた記録が参考になるはずです。


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編入のTOEICを3か月で440→860にした記録|使った本と周回数

④ 書類を作り込む

一般選抜に面接がないぶん、書類審査の比重が相対的に大きくなります。志望動機や学習計画を、経済学への理解に裏打ちされた形で丁寧にまとめましょう。書き方の型は大学編入の志望理由書の書き方が参考になります。

併願の組み方|9校で最も遅い「最後の出願機会」

横国経済の出願は10月14日〜20日。経済系9校のなかで最も遅い締切です。この位置取りには、併願上の明確な意味があります。

出願締切 大学
8/26 滋賀大 経済
9/2 近畿大 経済
9/10・9/11 同志社大 商関西大 商
9/24 神戸大 経済
10/8・10/9 名古屋大 経済大阪大 経済
10/20 横浜国立大 経済

他校を出し終えてから判断できる

横国が最後に来るということは、他校の出願をすべて済ませたあとで、出すかどうかを決められるということです。

たとえばTOEICのスコアが9月時点で伸び悩んでいた人でも、10月の公開テストの結果を見てから横国に出願するという組み方ができます。要件はTOEIC L&R 620点/TOEFL iBT 61点なので、9月に届かなくても10月に間に合えば出願可能です。

ただし注意すべき点もあります。他校の合格発表は、横国の出願締切より後に来ます。同志社商の10月16日を除けば、関西大商が11月2日、名大が11月11日、神戸大が11月13日。「他が受かったら横国はやめる」という判断はできません。10月20日の時点では、まだどこの結果も出ていないからです。

結果が出るのは12月17日

そして横国の合格者発表は12月17日。これも9校で最も遅い日付です。試験自体は11月16日ですが、そこから1か月待つことになります。

横国を第一志望にする場合、12月中旬まで進路が確定しない前提で計画を立ててください。逆に横国を滑り止め的に考えるのは日程上あまり機能しません。発表が遅すぎて、他校の判断材料にならないためです。

専門1科目型は準備を共有しやすい

一方で、準備の面では組みやすい大学です。横国は専門科目を選択して1科目を解く形式で、数学を必須とする神戸大やEREを課す阪大のような固有の負担がありません。経済学の基礎とTOEICという、他校と共通する土台がそのまま効きます。


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一人だと「科目選択と過去問分析」で迷う

横国経済で差がつきやすいのは、「経済学Ⅰと経済学Ⅱのどちらで勝負するか」と「過去問からどこまで傾向を読み取れるか」です。正直に言えば、この2つは独学だと判断がぶれやすく、選択を誤ったり過去問を”解いただけ”で終わったりしがちです。面接がないぶん書類の完成度も効いてくるため、第三者の視点で全体を点検する価値があります。

当メディアの運営者は、専門学校から神戸大学・名古屋大学の経済学部へ編入した経験者で、国立経済の編入対策に通じています(運営者プロフィールはこちら)。横国の科目選択から過去問の使い方、英語・書類の進め方まで、一緒に組み立てるところから始めましょう。

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