「編入試験の面接で何を聞かれるのか分からない」「口頭試問って、専門知識をどこまで問われるの?」——。筆記対策は進めていても、面接になると急に不安になる人はとても多いです。周りに編入経験者がおらず、模擬面接をしてくれる相手もいないため、対策のしようがないと感じてしまいがちです。
編入の面接・口頭試問で実際に問われることと、頻出質問への答え方の「型」。ここから具体的に見ていきます。先に結論を言うと、面接は準備した人としていない人で最も差がつく試験です。当メディアは専門学校から神戸大学・名古屋大学の経済学部へ編入した2名が運営しており、その経験から「評価される受け答え」の考え方をお伝えします。
この記事の要点
- 編入の面接は「一般的な面接」と「口頭試問(専門知識を口頭で問う)」の2種類
- 頻出は「なぜ編入か・なぜこの大学か・入学後に何をするか」。動機の一貫性が評価の軸
- 口頭試問は専門科目の理解が前提。筆記で解けることを口で説明できる状態にする
- 面接の有無・形式は大学ごとに違う。必ず志望校の募集要項で確認する
編入の面接・口頭試問は大きく2タイプ
まず押さえたいのは、一口に「面接」といっても大学によって中身が違うという点です。大きく分けると次の2つで、両方を課す大学もあります。
| タイプ | 内容 | 対策の重心 |
|---|---|---|
| 一般面接 | 志望動機・編入理由・入学後の計画などを問う | 志望理由書と一貫した動機を語れるように |
| 口頭試問 | 専門科目(経済学など)の内容を口頭で問う | 筆記の知識を「口で説明できる」状態に |
経済・経営系では、志望動機を中心とした一般面接に加えて、専門分野の理解を口頭で確認する口頭試問を行う大学があります。面接の有無・時間・形式(個人/集団、面接官の人数など)は大学ごとに異なるため、必ず志望校の最新の募集要項で確認してください。まれに面接を課さない大学もあります。
頻出質問と答え方の「型」
一般面接で問われることは、実はある程度パターンが決まっています。丸暗記ではなく、「型」を押さえて自分の言葉で語れるようにしておくのが対策の基本です。優先度の高い順に見ていきましょう。
① なぜ編入したいのか
最も重要かつ必ず問われる質問です。ここで「今の大学が嫌だから」といった後ろ向きな理由だけで終わると評価されません。「今の環境で気づいた関心→それを深めるために編入したい」という前向きな一貫性を示すのが型です。現状への不満があっても、それを学びたいことへの動機に転換して語ります。
② なぜ本学・本学部なのか
「その大学でなければならない理由」を問う質問です。ここは大学・学部研究の深さがそのまま出ます。学べる分野・研究内容・カリキュラムなど、具体的な要素と自分の関心を結びつけて語れると強いです。「レベルが高いから」だけでは、どの大学にも当てはまってしまい説得力が出ません。
③ 入学後・卒業後に何をしたいか
編入後の学習計画や、その先の進路を問う質問です。①②とつながった一本の線として語れるかが見られます。壮大である必要はなく、編入して何を学び、それをどう活かすのかが具体的であれば十分です。
④ 専門的な質問(口頭試問)への備え
経済系では「関心のある経済の話題」「基本的な用語の説明」などを問われることがあります。これは筆記対策とつながっていて、ミクロ・マクロの基本概念を口で説明できるようにしておくのが備えになります。専門科目の勉強法は編入試験の経済学の勉強法|ミクロ・マクロ独学ロードマップを参考にしてください。
運営者が実際に受けた面接|2014年・滋賀大学
ここまでは型の話です。実際の面接がどうだったのかを、ひとつ具体的に載せます。当メディアの運営者・直野が滋賀大学 経済学部の第2次選考で受けたもので、2014年の記録です。
形式は個人面接で、面接官は3人、時間は15〜30分ほど。圧迫されるような雰囲気ではなかったといいます。実際に出た質問を、上の型と並べるとこうなります。
| 実際に出た質問 | 上のどの型か |
|---|---|
| なぜその研究をしたいのか | ③ 入学後・卒業後に何をしたいか |
| なぜ滋賀大学なのか | ② なぜ本学・本学部なのか |
| 自分の強みと弱み | 型にない質問 |
| 専門科目の口頭試問 | 出ていない |
本人の記憶に残っているのはこの3つで、①「なぜ編入したいのか」を聞かれたかどうかは覚えていないとのことでした。裏を返せば、面接の時間は②と③に使われたということです。
ここから読み取れることが3つあります。
① 出たのは志望理由の深掘りで、専門的な口頭試問はなかった
滋賀大の選考は当日の専門筆記がなく、書類と面接で決まります。それでも経済学の内容を口頭で問われることはありませんでした。「筆記がないぶん口頭試問で専門知識を確かめられるのでは」と身構える人がいますが、少なくともこの回はそうなっていません。
ただしこれは大学によって完全に分かれます。上で書いたとおり口頭試問を課す大学もあるので、志望校がどちらの型かは必ず要項で確認してください。型が分かれば、準備の重心も決まります。
② 奇問はない。だから準備の差がそのまま出る
本人の言葉を借りると「テンプレ通り」でした。同じ専門学校から受けた同級生の話を聞いても、内容は大きく変わらなかったといいます。
これは、面接で運の要素が小さいということでもあります。変化球で崩されることがないかわりに、用意してきたかどうかがそのまま見えます。上の型①〜③を自分の言葉で語れる状態にしておけば、それだけで大きく外れることはありません。
③ 「強みと弱み」は編入でも聞かれる
就職面接の定番のようですが、編入の面接でも出ています。経済学の話だけ準備していると、ここで詰まります。自分の強みと弱みを、編入後の学習計画と結びつけて話せるようにしておいてください。弱みを「これから直します」で終わらせず、編入先で何をどう埋めるつもりかまで言えると、志望動機とつながります。
そもそも面接がない大学もある
もうひとつ、同じ人の同じ年の話として押さえておきたいことがあります。直野が本命にしていた名古屋大学は、当時、面接がありませんでした。同じ年に受けた2校で、片方は面接あり、片方は書類と筆記だけ。面接の有無そのものが大学によって違うという、これがそのまま実例になります。
面接がない大学では、志望動機を口頭で補足する機会が最後まで来ません。書いたものがすべてです。実際に提出した志望理由書の中身は大学編入の志望理由書の書き方に載せています。面接がある大学でも、結局は書類に書いたことを口で説明し直す作業になるので、順番としては書類が先です。
この面接が選考のどこにあたるのか、配点や日程を含めた全体は滋賀大学 経済学部 編入にまとめてあります。当時と現在では選考の順番が変わっている点も、そちらで注記しています。
本命に面接があるなら、その前に一度受けておく
面接は準備で差がつく試験ですが、準備だけでは埋まらない部分があります。3人に見られる圧、質問の間、答えを考える間の取り方。これは机の上では再現できません。だからこそ、本命の前に本番を1回通しておく価値があります。
そう考えると、志望校選びに「面接がいつあるか」という観点が加わります。2027年度(令和9年度)で面接・口述試験を課す経済系の大学を、実施日の順に並べるとこうなります。
| 大学 | 面接の形式 | 実施日 |
|---|---|---|
| 近畿大 経済 | 口頭試問(英語・経済学の基礎テストと同日) | 2026年9月12日 |
| 滋賀大 経済 | 個人面接(第2次) | 2026年10月10日 |
| 京都大 経済 | 口述試験(第2次) | 2026年11月6日 |
| 龍谷大 経済 | 面接(専門・英語と同日) | 2026年11月8日 |
| 大阪大 経済 | 口頭試問(第2次) | 2026年11月26日 |
並べると構造が見えます。面接のある本命は11月に集中していて、その手前の9月・10月に面接のある大学が2つあるという形です。京大・龍谷・阪大のいずれかが本命なら、近大や滋賀大を先に挟むことで、本命が初めての面接にならずに済みます。
ただし注意が2つあります。
| 今年度はもう遅い場合がある | 最速の近大は出願が8月下旬で締め切られます。この組み方は、いまから準備する人が翌年度に向けて設計するものと考えてください |
|---|---|
| 行く気のない大学は受けない | 面接の練習だけを目的に出願するのは勧めません。検定料も日程も消費しますし、本当に進学する可能性がある併願先から選ぶべきです |
面接のない大学を含めた出願日と試験日の全体は、編入試験に落ちたらどうなる?併願パターンと出願戦略にカレンダーとしてまとめてあります。面接の有無で併願を組むときは、そちらと合わせて見てください。
もうひとつの実例|2014年・大阪大学(面接官7人・20分)
滋賀大の面接は、面接官3人・志望理由中心・専門の口頭試問なしでした。ただしこれが編入の面接の標準形というわけではありません。同じ2014年に、もう一人の運営者・吉川が大阪大学 経済学部で受けた面接は、かなり様子が違います。2校を並べると、面接の幅が見えます。
| 滋賀大 経済(直野) | 大阪大 経済(吉川) | |
|---|---|---|
| 面接官 | 3人 | 7人が横並び |
| 時間 | 15〜30分 | 20分程度 |
| 面接までの関門 | 書類による第1次選考 | 当日の学科筆記に合格した人だけ(別日) |
| 専門の口頭試問 | 出ていない | 出ていない |
| 型の外から出た質問 | 自分の強みと弱み | どうやって経済学を勉強したのか |
※いずれも2014年の受験時の話で、本人の記憶に基づきます。両校とも現在は選考方法が変わっています。阪大は当日の学科筆記が廃止され、EREミクロ・マクロと英語外部スコアを含む書類選考を通った人が口頭試問に進む形です。当時の科目や順番を今の要項の代わりにしないでください。
7人に囲まれる面接もある
まず形式です。面接官が7人、横並び。本人いわく非常に緊張したそうです。滋賀大の3人と比べると、部屋に入った瞬間の圧がまるで違います。
ここから言えるのは、「面接官は2〜3人」という前提で練習していると、本番の人数で崩れる可能性があるということです。人数は要項に書かれていないことも多く、事前には読めません。だからこそ誰が何人いても同じ内容を話せる状態まで、声に出して固めておくしかありません。
質問の流れそのものは素直でした。自己紹介 → 志望動機 → 志望動機の深掘り → どうやって経済学を勉強したか → 雑談のような質問、の順で20分です。奇をてらった構成ではありません。
志望動機の「深掘り」は、実際にはこう聞かれた
面接対策の記事で必ず出てくる「深掘りされる」という表現ですが、中身が書かれていることはあまりありません。実物はこうでした。当時の吉川が志望理由書に書いていた研究テーマは教育経済学で、深掘りはそこに集中しています。
| 実際に出た質問 | 何を見られているか |
|---|---|
| なぜそのテーマを志望するに至ったのか | 関心の出どころ。どこから来た問題意識なのかを自分の言葉で説明できるか |
| 関連する論文は読んだことがあるか | どこまで自分で調べたか。テーマを決めただけでは答えられない |
| 実際にどんなことを研究したいと考えているのか | 入学後の計画。志望理由書の続きを口で言えるか |
並べると、過去(なぜその関心を持ったか)・現在(どこまで調べたか)・未来(入学後に何をするか)を一本の線で説明できるかを問われています。上の型でいえば②と③にまたがる質問群ですが、掘られる方向まで想定していないと、2問目・3問目で止まります。
とくに重いのが「関連する論文は読んだことがあるか」です。ここは面接直前の対策では埋まりません。志望理由書のテーマを決める段階で、そのテーマの論文に一度は当たっておくという順番になります。しかも回答のたびに追加の質問が続いています。用意した答えを言い切って終わりではなく、その先を2手、3手と聞かれる前提で準備してください。
「どうやって経済学を勉強したのか」を聞かれる
この面接でいちばん珍しいのは、経済学をどう勉強してきたかを直接たずねる質問が、志望動機とは切り離して独立に置かれていたことです。上の型①〜④のどれにも当てはまりません。
吉川はこれに対して、科目ごとに実際に使った教材の名前を挙げ、同じ参考書を何度も回したこと、紙にグラフを書いたこと、他の人に説明できる状態を目指したことを答えています。使った本と回し方をその場で言えたのは、実際にそう勉強してきたからです。
裏を返すと、この質問は面接の準備では作れません。日々の勉強のやり方が、そのまま答えの材料になります。「参考書を何冊やったか」ではなく「1冊をどう扱ったか」を言葉にできるようにしておくと、この種の質問に強くなります。経済学の教材と回し方は編入試験の経済学の勉強法にまとめています。
2校とも、型の外から質問が来ている
ここまでの2つの実例を重ねると、ひとつ共通点があります。滋賀大では「自分の強みと弱み」、阪大では「どうやって経済学を勉強したのか」。どちらも、志望動機の型①〜④には入っていない質問です。
つまり型は準備の骨であって、それだけでは面接の全部を覆えません。志望動機の周辺を固めたうえで、「自分自身のこと」を聞かれても答えられるようにしておく。ここまでやって準備が一通り終わります。もっとも、型の外から飛んでくるのも強み・弱み・勉強のやり方といった、自分について考えていれば答えられる範囲です。想像もつかない奇問が飛んでくるわけではありません。
最後は編入元の話になる
締めの「雑談のような緩やかな質問」で出たのは、前の学校では何を勉強していたのかでした。吉川は専門学校からの編入なので、そこを聞かれています。
この手の質問は評価の本体ではありませんが、詰まると印象に残ります。編入元で何をやってきたかは必ず話題になると考えて、一言で説明できるようにしておいてください。専門学校や短大からの編入なら、なおさら聞かれます(専門学校から大学編入する方法)。
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面接と志望理由書は「一体」で作る
見落とされがちですが、面接対策は志望理由書とセットで考えてください。面接官は提出された志望理由書を手元に置いて質問することが多く、書類と面接での発言が食い違うと大きなマイナスになります。逆に、志望理由書を練り込んでおけば、それがそのまま面接の回答の土台になります。志望理由書の作り方は大学編入の志望理由書の書き方で詳しく解説しています。
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大学編入の志望理由書の書き方|構成・例文の作り方と添削のコツ
口頭試問(専門質問)への向き合い方
口頭試問と聞くと身構えますが、求められるのは難問への即答ではなく、基礎をきちんと理解しているかです。分からない質問に対して当てずっぽうで答えるより、「ここまでは理解している」と筋道を示しながら考える姿勢のほうが評価されることもあります。大切なのは、筆記で解ける論点を、言葉でも説明できるところまで理解を深めておくことです。読んで分かるだけでなく、人に説明する練習をしておくと本番で強くなります。
面接でやりがちな失敗と回避
面接で評価を落とす人には、共通したパターンがあります。裏を返せば、これを避けるだけで印象は大きく変わります。
| 評価を落とす受け答え | 評価される受け答え | |
|---|---|---|
| 編入理由 | 今の大学への不満だけを述べる | 関心を深めたいという前向きな動機に変換 |
| 志望校理由 | 「レベルが高いから」で終わる | 研究内容・カリキュラムと関心を結びつける |
| 回答の姿勢 | 丸暗記を早口で再生する | 要点を自分の言葉で落ち着いて話す |
| 書類との整合 | 志望理由書と発言が食い違う | 書類と一貫した内容を語る |
特に多いのが、回答を丸暗記して臨み、少し角度を変えて質問されると固まってしまう人です。暗記ではなく「型+自分の言葉」で準備しておくと、想定外の質問にも対応できます。準備を始める時期そのものは大学編入はいつから準備すべき?学年別スケジュールで逆算できます。志望校ごとの面接の傾向は大学別の編入情報もあわせてどうぞ。
面接対策の最大の壁は「練習相手がいない」こと
正直に言うと、面接対策で一番難しいのは本番形式で練習する相手がいないことです。回答を頭の中で用意しても、実際に声に出し、質問を受けて答える練習をしないと、本番で思うように話せません。まして編入は周りに経験者がおらず、大学のキャリアセンターも編入面接には詳しくないことが多いため、一人で完結させるのは困難です。
逆に言えば、編入面接を知っている相手と一度でも模擬練習をするだけで、対策の質は大きく変わります。当メディアの運営者は、実際に編入面接を受けて神戸大・名古屋大の経済学部に合格した当事者です(運営者プロフィールはこちら)。想定質問の作り方から受け答えの練習まで、経験者と一緒に準備するのが最短ルートです。
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