経済系の編入を考えて、履修の記録を開く。1年生から取ってきた科目が並んでいます。法学、憲法、民法。あるいは文学、哲学、社会学。経済学という文字が、1つもありません。

ここで諦める人が多いところです。「経済学部に編入するなら、ミクロとマクロができないと話にならない」と書かれているのを見れば、そう思います。

ところが当メディアが経済・経営系21校の募集要項を読んだところ、経済学を1科目も解かずに受けられる大学がありました。科目を選べる大学が3校、小論文だけの大学が4校、面接・口述だけの大学が6校です。

ただしいいことばかりではありません。入口が通れても、入ったあとの単位認定でつまずく大学があります。要項が「最短年限(2年)で卒業することは時間的に大変厳しくなります」と書いている大学も実在します。

この記事では、学部を変えて経済系へ移るときに、入口と出口の両方で何が起きるかを要項の記述でまとめます。

この記事の要点

  • ⭐科目を選んで経済学を外せる大学が3校ある(三重・神戸大 経営・新潟)。三重大学は法学で受けられる
  • 当日の筆記が小論文だけの大学が4校、面接・口述だけの大学が6校
  • ⚠️入ったあとが問題。下関市立大学は経済学・商学・経営学以外の出身だと専門科目の単位を認定しない
  • ⚠️そのとき要項は「最短年限(2年)で卒業することは時間的に大変厳しくなります」と書いている
  • 入口の通りやすさと、出口の卒業しやすさは別。両方を見て選ぶ

⭐科目を選んで、経済学を外せる大学が3校ある

専門科目を「複数から選ぶ」方式の大学があります。選択肢に経済学以外が入っていれば、経済学を解かずに受けられます。

大学 選べる科目 経済学を外せるか
三重大学 人文学部 法律経済学科 法学・政治学・経営学・経済学から1科目(90分) ⭐外せる。法学1科目で受けられる
神戸大学 経営学部 経営学/会計学/マーケティング論/経済学の4つから2科目(試験場で選択) ⭐外せる。経済学以外から2つ選べる
新潟大学 経済科学部 経済学・経営学・学際日本学から2科目 ⭐外せる。経営学+学際日本学の組み合わせがある

出典:各大学が公表している2027年度(令和9年度)第3年次編入学の学生募集要項。⚠️科目の構成は年度で変わることがあるので、志望する年の要項で確認してください。

いちばん分かりやすいのが三重大学です。論述試験で解くのは1科目だけで、法学・政治学・経営学・経済学から選びます。法学部の人は法学を選べば、経済学に触れずに法律経済学科へ入れます。

新潟大学の学際日本学も特徴的です。日本の社会・文化に関する基礎的な知識と思考力を問う科目で、当メディアが要項を確認した経済系のなかでここだけでした。経営学と組み合わせれば、経済学を外せます。

⚠️ただし選べることと、楽であることは別です。法学で受けるなら法学で点を取る必要があります。選択肢があるのは「自分が積んできたものを使える」という意味であって、準備が要らないという意味ではありません。

専門科目そのものがない大学が10校ある

もう1つの道です。当日に専門科目を解かない大学があります。

⭐島根大学は要項に「特には専門的知識を要しない」と書いています。法経学科の小論文について、社会科学分野を重視した一般教養だと明記されています。経済学を習っていない人にとって、ここまではっきり書いてある大学は多くありません。

⚠️ただし小論文の中身は大学で違います。琉球大学は「経営学に関する基礎問題」、長崎大学は「経済・社会に関する基礎的な問題」で、こちらは専門の知識が要ります。同じ「小論文」でも要求が逆になっているので、志望校の要項を見てください。

次に読む編入試験の小論文は何を書かされるのか|要項を読んだら7校で中身が違った

面接・口述だけの6校も、筆記がないぶん出願書類とスコアで決まります。「経済学ができないから筆記のない大学へ」という選び方をすると、今度は英語と志望理由書で勝負します。どこかが楽になれば、どこかが重くなる形です。

⚠️ここからが本題|入ったあとに効く

入口の話はここまでです。学部を変える人にとって本当に重いのは、入ったあとです。

下関市立大学の要項は、出身学部によって単位認定の扱いを分けています。

出身 62単位がどう認定されるか
経済学・商学・経営学を専攻する学部・学科 基礎教育・教養教育科目に加えて、一部の専門教育科目としても認定
それ以外の学部・学科
(法学部・文学部・社会学部など)
すべて基礎教育・教養教育科目として認定。専門教育科目としては認定しない

この記事を読んでいる人の多くは、下の行に当たります。そうなると、卒業に必要な専門教育科目を編入後の2年ですべて取ります。その単位数も要項に書いてあります。経済学科76単位・国際商学科72単位・公共マネジメント学科76単位です。

そして要項自身が【重要】として、こう書いています。

最短年限(2年)で卒業することは時間的に大変厳しくなります

大学が自分で「2年では厳しい」と言っています。⚠️この条件は下関市立大学のものなので、他大学に当てはめないでください。ただし似た注記を置いている大学はほかにもあります。

大学 要項の書き方
島根大学 法文学部 「所属学科、コース・研究室によっては、2年を超えて在学しなければならない場合もあります」
高知大学 「出身学校で履修した授業科目の内容によっては、卒業に必要な単位として認定されないものがあります」
富山大学 経済学部 「編入学後2年以上4年以内に…卒業に必要な単位を修得した者については、学士の学位を授与します」

「2年で卒業できる」と言い切っている大学は、確認した範囲ではありませんでした。学部を変える人は、ここを読まずに出願すると計算が狂います。

次に読む編入の単位認定の仕組み|何単位持っていける?留年しない?

出願前に確かめられる

幸い、これは出願してから分かる話ではありません。要項と電話で確定できます。

やること どこで
1. 単位認定の節を読む 募集要項の後半。「入学前修得単位の認定」という見出しで置かれていることが多い
2. ⭐自分の学部が条件に当たるか聞く 下関市立大学の要項は教務課の電話番号(083-252-0289)を載せたうえで「あらかじめ問合せてください」と書いている。電話1本で確定できる
3. 卒業要件の単位数を見る 認定されない場合に、2年で何単位取ることになるかが分かる

大学が問い合わせ先を書いてまで確認を求めている項目です。遠慮する場面ではありません。

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入口と出口の両方で選ぶ

学部を変える編入では、見る順番が1つ増えます。

見るところ 学部が同じ人 学部を変える人
当日の試験科目 経済学で勝負できる ⭐科目を選べる大学、小論文・面接だけの大学を探す
単位認定 専門科目としても認定されやすい ⚠️教養科目としてしか認定されないことがある
卒業までの年数 2年 ⚠️2年を超える可能性を計算に入れる

入口が通りやすい大学と、出口が詰まらない大学は別です。小論文だけで受けられる大学が、入ったあとに専門科目を76単位要求することもあります。片方だけ見て決めないでください。

⚠️そのうえで、2年を超えるのが必ず損とは限りません。3年かけて卒業しても、学びたい分野に移れたなら目的は果たしています。問題は、知らずに出願して入学後に分かることです。

まとめ|判断の材料

知りたいこと 答え
経済学を習っていなくても受けられるか 受けられる。科目を選べる3校+専門科目がない10校
いちばん分かりやすい大学は 三重大学 人文学部 法律経済学科(法学1科目で受けられる)/島根大学(要項が「特には専門的知識を要しない」と明記)
入ったあとは ⚠️経済系以外の出身だと専門科目の単位が認定されない大学がある
2年で卒業できるか ⚠️「できる」と言い切っている大学は確認した範囲でなかった
出願前に分かるか 分かる。要項の単位認定の節と、教務課への電話

学部が違うことは、編入をあきらめる理由にはなりません。経済学を解かずに受けられる大学は実際にあります。ただし選ぶときの基準が1つ増えます。当日の試験科目だけでなく、入学後に自分の単位がどう扱われるかまで見てください。

その2つが分かれば、あとは志望校を絞るだけです。自分の学部がどちらに当たるのか、要項を読んでも判断しづらいことがあります。

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