4月に440点。5月に680点。6月に745点。そして7月に860点。これは当メディアの運営者の一人(直野史明)が、専門学校に通いながら編入試験のために積んだTOEICのスコア推移です。1日にかけた時間は平均2〜3時間、使った教材は実質4冊でした。

編入試験の英語は、当日の筆記ではなく外部検定のスコア提出を求める大学が少なくありません。つまり試験当日ではなく出願日までにスコアを作り終える必要があります。この記事では、その3か月で何をどの順にやったのかを、教材名と周回数まで含めて具体的に書きます。一般論ではなく、実際にやった一人分の記録です。

この記事の要点

  • 3か月の推移は440→680→745→860。745は当日のコンディションを崩した回で、学習が停滞したわけではない
  • 教材は増やさない。最初の1か月で手持ちを全部1周し、そこから配分を変えた
  • 周回数はPartごとに変える。15周した本もあれば、2〜3周でやめた本もある
  • 直前期は志望理由書と重なる。最後の1か月はTOEICに20時間ほどしか使えていない
  • スコアは出願日から逆算する。試験日ではなく、結果が出るまでの時間を含めて逆算する

3か月のスコア推移と、かけた時間

まず実際の数字です。受験月ごとのスコアと、その時期にやっていたことを並べます。

時期 スコア その時期にやっていたこと
4月 440点 手持ちの教材を全部1周する期間
5月 680点 重点配分を決めて、Part5&6の周回に入る
6月 745点 Part3&4の暗唱・シャドーイング。当日にコンディションを崩した回
7月 860点 志望理由書と重なり、TOEICは合計20時間ほど

1日の学習時間は、3か月を通して平均2〜3時間です。専門学校に通いながらだったので、まとまった時間が取れる日ばかりではありませんでした。

直野 史明直野 史明名古屋大学 経済学部 編入

6月は気合いを入れて、試験の直前にエナジードリンクを飲んで臨みました。そうしたら途中でトイレに行きたくなって、そこから最後まで集中できずに終わりました。

それでも745点を取ることができました。もしその失敗がなければ、6月で800点を超えて、7月は安心してTOEIC以外の勉強に時間を回せたかもしれません。7月のTOEICも落ち着いて臨めて、860点以上が出ていた可能性もあります。TOEICは2時間ほど座りっぱなしなので、直前に何を飲むか・食べるかは本当に気をつけてください。

そして7月です。この月は志望理由書を考えたり清書したりするのに時間を取られ、模試を解いた分を含めてもTOEICの勉強は合計20時間ほどしかしていません。それでも860点まで上がりました。

この2か月から読み取れることが2つあります。ひとつは、スコアは当日のコンディションで簡単に落ちるということ。集中を切らさずに2時間受け切れるかどうかも、そのまま点数に出ます。もうひとつは、5〜6月に作り込んだ型は、直前期にほとんど勉強できなくても効いたということです。

そして後者は、編入受験生にとって軽い話ではありません。TOEICの追い込み時期と、志望理由書を書く時期は重なります。 出願書類にスコアを添えて出す以上、両方の締切が同じ場所に来るからです。7月にTOEICへ20時間しか割けなかったのは、志望理由書に時間を持っていかれたからでした。つまり英語は、書類を書き始める前に仕上げておくものです。

使った教材は、実質4冊だけ

3か月で触った教材は次の通りです。中心は「究極のゼミ」シリーズの4冊で、ほとんどこれしかやっていません。

中心はこの4冊|究極のゼミ シリーズ

Partごとに1冊ずつ。かけた回数は大きく違います

Part1&2
究極のゼミ Part1&2
2〜3周でやめた
Part3&4
究極のゼミ Part3&4
例題48題を暗唱まで
Part5&6
究極のゼミ Part5&6
約15周(最多)
Part7
究極のゼミ Part7
音読して和訳できるまで

このほかに超特急シリーズを2冊、軽く1〜2周した程度。単語帳は単語王(現在は絶版)を1冊だけ使っています。

単語帳として使っていた「単語王」は現在は絶版です。これから始める人が同じものを揃えることはできません。ただ、ここで大事なのは書名そのものより、単語帳を1冊に決めて他に浮気しなかったという運用のほうです。手持ちの1冊を繰り返すという方針が変わらなければ、代わりの単語帳でも同じことができます。

直野 史明直野 史明名古屋大学 経済学部 編入

教材を絞ったのは、戦略というより時間がなかったからです。専門学校の授業もあるなかで3か月しかなかったので、あれこれ買っている余裕がありませんでした。

結果的にはそれがよかったと思っています。新しい本を1周するより、同じ本を5周目まで持っていくほうが、スコアには直結しました。

最初の1か月は、全部を1周することに使う

4月の1か月は、手持ちの教材を全部1周することに充てました。この段階では周回数も精度も追いません。目的は、どのPartで何を落としているかを自分で把握することです。

440点の時点では、そもそも各Partが何を聞いているのかが分かっていません。ここを飛ばして特定のPartに集中すると、配分の判断ができないまま時間を使ってしまいます。1周してはじめて、どこに伸びしろが残っているかが見えます。

そして5月以降、この判断にもとづいて周回数を大きく変えました。ここがこの3か月でいちばん効いた部分です。

周回数はPartごとに変える

全部を均等にやることはしていません。Partごとに、かけた回数がまったく違います。

ここから先に出てくる練習の名前を、先に定義しておきます。この4つは似ているようで、やることも到達点も違います。

練習 やること できたと言える状態
音読 英文を見ながら声に出して読む つっかえずに最後まで読める
暗唱 英文を見ずに、内容を思い出しながら声に出す テキストを閉じても言える
シャドーイング 音声を流し、少し遅れて影のように同じ音を追いかけて声に出す。英文は見ない 音声に置いていかれずについていける
読みながら和訳 英文を前から順に、返り読みせずに意味を取っていく 読む速度のまま意味が分かる

大事なのは回数ではなく、右端の「できたと言える状態」に届いたかどうかです。同じ15周でも、届いていなければ意味がありません。逆に届いたなら、そこでやめて次へ進んで構いません。

Part1&2は2〜3周でやめた

写真描写と応答問題は、やり込んでも見返りが小さいと判断して2〜3周で切り上げました。設問形式が単純なぶん、1周目である程度取れるようになり、そこから先に伸ばせる幅が小さいためです。ここに時間を注いでも、総スコアはあまり動きません。

Part5&6は、全問を瞬殺できるまで約15周

いちばん回したのがここで、収録されている問題を全部、考えずに即答できる状態になるまで約15周しました。文法・語彙の問題は答えが一つに決まるので、反復がそのまま得点に変わります。しかもここを速く処理できるようになると、そのぶんの時間がPart7に回せます。Part5&6を回すことは、Part7の得点対策にもなっていました。

Part3&4は、例題を全部暗唱できるまで

会話と説明文のリスニングは、例題がPart3で24題、Part4で24題の計48題でした。この48題を、内容を理解したうえで暗唱できる状態まで持っていきました。最終的には、歩きながらシャドーイングをしていた時期があります。

いきなり暗唱やシャドーイングをやろうとしても声が出ません。1題につき、次の4段階を順に上げていきます。

段階 やること 次へ進む目安
①理解する 英文と訳を突き合わせ、分からない単語・構文を潰す 意味の分からない箇所がゼロ
②音読する 英文を見ながら声に出して読む つっかえずに読み切れる
③暗唱する 英文を見ずに、内容を思い出して声に出す テキストを閉じても言える
④シャドーイングする 音声を流し、英文を見ずに追いかけて声に出す 音声に置いていかれない

④まで来ると、テキストも机も要らなくなります。移動中に音声を流して声に出すだけで練習になるので、まとまった時間が取れない日でも進められます。歩きながらやっていたのはそのためです。

聞き取れない原因は、たいていの場合、語彙ではなく音の形を知らないことにあります。自分で言える音は聞き取れるようになるので、③④まで持っていくのが結果的にいちばん速い、という判断でした。

Part7は、音読しながら和訳できるまで

長文読解は、問題文だけでなく各設問と選択肢まで含めて全部を音読し、読みながらのスピードでそのまま和訳できるようになるまで繰り返しました。

「読みながら和訳」が何をすることか分かりにくいので、具体的に書きます。英文を頭から順に読み進めながら、意識の中で意味を取っていく作業です。文末まで行ってから前に戻る「返り読み」をしないのがポイントで、返り読みをしている限り、Part7は時間内に終わりません。

段階 やること 次へ進む目安
①全部を音読する 本文だけでなく、設問文と選択肢も声に出す 全文をつっかえずに読み切れる
②詰まった箇所を潰す 意味が取れなかった文の語彙・構文を調べる 分からない箇所がなくなる
③読む速度で意味を取る 前から順に、返り読みせずに意味を取っていく 戻らずに内容が分かる

設問と選択肢まで音読の対象にしているのは、本文が読めても設問の読み取りで時間を落とすことが多いからです。選択肢は本文の言い換えでできているので、ここを速く処理できるかどうかが最後に効いてきます。

取れていない箇所 やったこと かけた回数
短いリスニングを落とす Part1&2の問題形式に慣れる 2〜3周
長いリスニングが追えない Part3&4の例題48題を暗唱・シャドーイング 暗唱できるまで
文法・語彙で落としている Part5&6を即答できるまで反復 約15周
Part7で時間が足りない 問題文・設問・選択肢を音読し、読む速度で和訳 できるまで

なぜこの配分にしたのか

配分の考え方は単純で、反復がそのまま点数に変わる場所から先に埋めるというものです。

Part5&6は答えが一つに決まるので、周回した分だけ確実に速く正確になります。Part3&4は音声の型が決まっているので、暗唱すれば対応できる範囲が広がります。逆にPart1&2は早い段階で頭打ちになり、Part7は他のPartの処理速度が上がらないと時間が作れません。だからPart5&6 → Part3&4 → Part7の順で重心を移しました。

なお、これは一人分の記録です。今のスコアや得意不得意によって最適な配分は変わりますし、同じことをすれば同じ点が出ると保証できるものではありません。

直野 史明直野 史明名古屋大学 経済学部 編入

個人的な感覚として、ここに書いた量をやり切れば、どんなレベルから始めても800点は超えられると信じています。ある程度英語をやってきた人なら、900も届く範囲だと思っています。

ただ、それは「同じ本を、瞬殺できるまで回す」という部分をやり切った場合の話です。周回数を落として教材を増やすと、たぶん同じようにはなりません。

860から965へは、編入した後だった

最終的には965点まで伸びていますが、これは編入した後の話です。編入後になんとなく受けることにしたTOEICで、ここまでに書いた内容を2週間ほど復習して臨んだら取れた、という経緯でした。

新しい教材は使っていません。3か月で作った型がそのまま残っていて、短い復習で戻せる状態だったということです。詰め込みで一度だけ取ったスコアではなく、やり方ごと身についていた——この点は、編入後にも英語を使うことを考えると意味があります。

いつ始めるか|出願日から逆算する

最後に時期の話をします。編入でTOEICを使う場合、意識すべき締切は試験日ではありません。

外部検定のスコア提出を求める大学では、出願書類にスコアを添えて出します。つまり本当の締切は出願日です。さらにTOEICは受験してから結果が出るまでに時間がかかるので、その分も前倒しで見ておく必要があります。有効期限(過去2年以内など)が定められている場合もあります。TOEIC以外の検定でも出せる大学はあるので、英検やTOEFLを考えている人は編入試験は英検で受けられる?で志望校が受け付けているかを先に確かめてください。

逆算する順序 確認すること
①出願日 試験日ではなく出願日が実質の締切
②結果が出る日 受験から結果まで時間がかかる。最後の受験機会はここで決まる
③受験回数 1回で決めない前提で、複数回の受験日を先に押さえる
④書類の時期 志望理由書を書く時期と重なる。英語はその前に仕上げる
⑤学習期間 ②④から逆算して、実際に英語へ使える月数を出す

この記録では3か月で440から860まで動きました。ただしこれは1日2〜3時間を確保できる時期があった場合の数字です。しかも最後の1か月は志望理由書に取られて、20時間ほどしか使えていません。確保できる時間が半分なら、必要な月数はその分だけ増えます。まず②を確定させ、そこから逆算した月数が足りるかどうかを最初に判定してください。

志望校がTOEICを使うのか当日筆記なのか、そして何点を目安にするかは大学編入の英語対策|TOEICは何点必要かで整理しています。出願条件や必要スコアは年度で変わるため、最終的な数値は必ず志望校の募集要項で確認してください。


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まとめ

3か月でやったことをもう一度並べます。最初の1か月で手持ちを全部1周。そこからPart5&6を約15周、Part3&4の例題48題を暗唱、Part7を音読して読む速度で和訳、という順序です。教材は増やしていません。

そのうえで、始める時期だけは自分の状況で決める必要があります。出願日から結果発表までを引き、受験回数を確保し、志望理由書に取られる時間を差し引いて、残った月数が学習期間になります。その月数が3か月を大きく下回るなら、いま最初にやるべきなのは勉強法を選ぶことではなく、受験日程を先に押さえることです。当メディアは専門学校から神戸大学・名古屋大学の経済学部へ編入した2名で運営しています。残り時間から逆算した現実的な計画は、実際にその期間を通った側のほうが早く出せます。

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