「Fラン」という言葉の出どころを遡ると、2000年の予備校の偏差値表に行き着きます。当時、河合塾が難易度ランキングに「Fランク」という区分を新設し、翌年までに「ボーダーフリー(BF)」へ名称を変更しました。ネットスラングとして残ったのは、改称される前の呼び方のほうでした。

つまり多くの人が自分の大学に当てはめている「Fラン」という言葉は、20年以上前に予備校が一度使ってすぐ引っ込めた表記が、そのまま残って広まったものです。では、その中身は何を測っていたのか。定義を読むと、想像とはかなり違うことが分かります。

この記事の要点

  • BF(ボーダーフリー)は河合塾の定義では「不合格者数が少なく、合格率50%となる偏差値帯が設定できなかった」という意味
  • 測っているのは入試の選抜性であって、教育の中身でも卒業後の評価でもない
  • それでも採用の入口で学歴を見られる場面はある。だから対処するなら最終学歴を変える
  • 編入試験は秋に集中する。今が何年生かで、間に合うかどうかが決まる

「Fラン」の正体|河合塾の定義を読む

河合塾のボーダー偏差値は、全統模試の偏差値をもとに16区分の偏差値帯で設定されています。そのうえでBFは、公式にはこう説明されています。「前年度入試結果調査データにおいて、不合格者数が少ないため合格率50%となる偏差値帯が存在せず、ボーダーラインが設定できなかった場合」。

ここを丁寧に読むと、BFが指しているものがはっきりします。

BFが示していること BFが示していないこと
対象 その年の入試で不合格者が少なかった 授業や研究の水準
計算の中身 合格率50%の線が引けなかったということ 在学生の能力
見ている時点 入学時の一時点 卒業時点の実力や進路
変動 志願者数によって年度で変わる 大学そのものの固定的な評価

要するにBFは、その年にどれだけ志願者が集まったかを示す数字です。定員に対して志願者が集まらなければ不合格者は減り、線が引けなくなる。少子化で大学数が増えた環境では、これは大学の中身とは関係なく起きます。定義を読むかぎり、自分の4年間の価値をこの1点で決める理由はありません。

ただし、採用の入口で学歴を見られる場面はある

ここで「だから気にしなくていい」とだけ言うのは誠実ではありません。応募が集中する企業が限られた時間で選考する以上、候補をあらかじめ絞る動きは出てきます。感じた違和感が的外れというわけではありません。

大事なのは、その事実をどう扱うかです。感情の問題として抱え込むと消耗しますが、入口で見られる部分を変える課題として扱えば、やることは具体的になります。学歴フィルターの仕組みと、編入したときに履歴書がどうなるかは学歴フィルターは編入で越えられるで詳しく扱っています。履歴書に前の大学も残ることも含めて、先に知っておくほうが動きやすいはずです。


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編入で変えられるのは、入試の結果ではなく卒業する大学

編入とは、在籍中に修得した単位を持ったまま別の大学の3年次に入り直し、そこで学位を取る進み方です。高校生のときの入試結果が消えるわけではありませんが、卒業する大学は変わります。学位記も卒業証明書も編入先から発行されます。

そして就職活動で最初に見られるのは、最終学歴です。履歴書には前の在籍校も書きますが、応募の段階で並べられるのは卒業する大学のほうです。いま在籍している大学ではなく、卒業のときにどこの大学と書けるかが効いてきます。

直野 史明直野 史明名古屋大学 経済学部 編入

私が出たのは偏差値40くらいの高校です。入った大学も中退していて、名古屋大学の前の在籍先は専門学校でした。

それでも、就職活動でエントリーシートに書いた最終学歴は名古屋大学経済学部です。応募の段階で外されることは、そこからありませんでした。内定をもらったのは大手の証券会社、人材サービス、難関と言われるベンチャーです。

いまの大学のランクを気にして止まるより、卒業のときに何を書けるようにするかを先に決めたほうがいいと思います。


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【体験談】大学中退から名古屋大学経済学部へ|専門学校を経て編入するまでの全記録

そして編入試験で問われるのは、英語(外部検定スコアを使う大学が多い)と専門科目が中心です。高校までの5教科の蓄積を問われる試験ではないため、大学入試で結果が出なかったことと、編入試験で結果が出るかどうかは別の話になります。ここが、もう一度受験し直す道との決定的な違いです。

編入 もう一度受験し直す
問われる科目 英語+専門科目に絞られる 5教科型の総合力
合格した場合 3年次から。単位を引き継げる 1年次から。学年をやり直す
不合格の場合 在籍中の大学でそのまま進級 1年分の時間を消費する
手元に残るもの 英語スコアと専門知識 大学受験の科目知識

入った後のことも先に知っておく

編入を勧める記事は合格までしか書かないことが多いのですが、入学後にも押さえておくべき点があります。ひとつは単位認定です。前の在籍校で修得した分がそのまま全部引き継がれるとは限らず、認定される範囲は編入先の判断になります。認定が少なければ、3年次からの2年間で埋める授業数が増えます。仕組みは編入の単位認定の仕組みで扱っています。

もうひとつは人間関係です。3年次から入るため、周囲はすでにゼミや友人関係ができあがっています。ここを負担に感じる人はいます。ただ、大学名を変えたい動機で編入した人にとって、この程度の負荷は事前に想定しておけば対処できる範囲でもあります。知らずに直面するか、知ったうえで選ぶかの違いです。

それでも、卒業する大学を選び直せる制度は大学に入ったあとにも残っています。行き先を決めるのは高校時代の入試結果ではなく、これから何をするかのほうです。

間に合うかどうかは、今が何年生かで決まる

編入試験は秋に集中します。出願は8月から9月、試験は10月から11月というのが典型的な日程です。この1点から逆算すると、動ける期間ははっきりします。

① 大学1年生・2年生前半なら、余裕がある

英語の外部検定スコアを積む時間が十分にあります。多くの大学は出願時にスコア提出を求めるため、試験本番より先にこちらの締切が来ます。複数回の受験を前提に計画を立てられる時期です。

② 大学2年生の夏を過ぎたら、翌年度も選択肢に入れる

その年の秋に出願する場合、英語のスコアが間に合うかが分岐点になります。間に合わないなら無理に詰め込まず、翌年度の受験に切り替えたほうが準備の質は保てます。編入は2年次修了後だけでなく、大学を卒業した後にも出願できる制度です。

③ 3年生以降なら、編入以外の選択肢と比べる

就職活動が目前の段階では、編入して卒業が延びることの損得を計算する必要があります。この場合は今の大学で実績を積むほうが合理的なこともあります。

次にやることは、志望する大学の募集要項で英語の要件を確認し、直近のTOEICの受験日を1つ押さえることです。スコアが手元にあるかどうかで、出願できる大学の数が変わります。目標点の考え方は大学編入の英語対策|TOEICは何点必要かに、学年別の組み立ては大学編入はいつから準備すべき?にあります。

①〜③のどれに当たるかで、今年出願するのか、翌年に回すのかが変わります。ここを取り違えると、間に合わない試験の準備に半年使ってしまいます。

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