編入の必要単位数は62単位、と書かれているのをよく見ます。当メディアが経済・経営系の募集要項を確認した範囲では、62単位がいちばん多いのは確かでした。ただし62ではない大学が7校あります。いちばん少ないのは鹿児島大学の50単位、いちばん多いのは大阪大学の70単位です。名古屋大学は56単位でした。
この差は、出せる大学と出せない大学を分けます。2年生の終わりに60単位ちょうどを持っている人は、名古屋大学には出せて大阪大学には出せません。自分が何単位持っているかを先に数えると、受けられる大学の範囲が決まります。
この記事では、四年制大学に通っている人が編入に出願するときの条件を、要項の条文からまとめます。単位数だけでなく、辞めなくていいのか、休学した期間は数に入るのか、2つの大学で取った単位は足せるのか、までを扱います。
この記事の要点
- いまの大学に在籍したまま出願できます。辞める必要も休学する必要もありません
- 必要な単位数は50単位から70単位まで大学ごとに違います。62単位は最多であって、決まりではありません
- ⚠️2つの大学で取った単位を足せない大学があります(名古屋大学・三重大学)
- ⚠️休学した期間は「2年以上在学」に数えません。確認した要項の多くに「休学期間を除く」と書かれています
- すでに辞めた人も出せます。2年以上在学して必要単位を取っていれば、退学後でも対象になる大学があります
いまの大学は辞めなくていい
最初にここを押さえてください。四年制大学から編入する人のほとんどは、いまの大学に在籍したまま出願して、在籍したまま受験します。退学も休学も要りません。
要項の出願資格を見ると「修業年限4年以上の大学において2年以上在学する者で○単位以上を修得している者」という書き方になっています。「在学する者」なので、在学していることが前提です。辞めてから出すものではありません。
合格したあとに、いまの大学へ退学届を出します。落ちた場合は何も起きません。3年生、4年生とそのまま進んで卒業します。
| 結果 | いまの大学 |
|---|---|
| 合格した | 編入先の3年次に入る。いまの大学は退学する |
| 落ちた | そのまま3年生・4年生を続けて卒業する。失うのは検定料と準備の時間 |
専門学校や短大から編入する人とは、ここが違います。あちらは卒業がそのまま区切りになるので、編入しない場合の進路を別に用意する必要があります。四年制大学からの編入は、いまの進路を残したまま上積みを狙えます。
次に読む大学編入は「やめとけ」か|割に合う人・合わない人の分かれ目
必要な単位数は62とは限らない
当メディアが経済・経営系の募集要項で確認した必要単位数を、少ない順に並べます。いずれも四年制大学に2年以上在学して出願する場合の数字です。
| 必要単位数 | 大学 | 要項の書き方で気をつける点 |
|---|---|---|
| 指定なし | 福島大学 経済経営学類 | 在学2年以上のみ。単位数の条件が見当たらない |
| 50単位 | 鹿児島大学 法文学部 | 確認した中でいちばん少ない |
| 52単位 | 三重大学 人文学部 法律経済学科 | ⚠️同一大学在学中のものに限る |
| 56単位 | 名古屋大学 経済学部 | ⚠️本学以外の同一の大学で取ったもの |
| 60単位 | 関西大学 商学部 | 卒業に必要な単位のうち60単位以上 |
| 62単位 | 神戸大学 経営学部/広島大学/埼玉大学/筑波大学/富山大学/島根大学/山形大学/岩手大学/長崎大学/高知大学/下関市立大学/琉球大学/北九州市立大学 | いちばん多い |
| 63単位 | 大分大学 経済学部 | 62ではなく63 |
| 70単位 | 大阪大学 経済学部 | ⚠️出願時の総修得単位数で判定 |
出典:各大学の2027年度(令和9年度)第3年次編入学の学生募集要項。当メディアが取得して読んだ範囲のもので、全国のすべての大学を調べたものではありません。出願前に必ず公式の最新版を確認してください。
2年生の終わりに取れる単位は、多くの大学で60単位台です。つまり50単位の大学と70単位の大学では、出せる人の範囲がはっきり変わります。
とくに大阪大学の「出願時の総修得単位数が70単位以上」は注意が要ります。出願は秋なので、3年生の前期までに70単位を積んでいる必要があります。1年生のときに単位を落としている人は、出願の時点で足りない可能性があります。
逆に、単位が足りていなくても出せる大学があります。福島大学は要項に単位数の条件が見当たらず、在学2年以上だけが書かれていました。鹿児島大学は50単位です。単位をあまり取れていない人の受け皿になります。
⚠️2つの大学で取った単位は足せないことがある
一度ほかの大学を辞めて入り直した人、仮面浪人をして入り直した人は、ここを先に見てください。
要項に「同一大学」と書いてある大学があります。確認した中では次の2校です。
| 大学 | 要項の書き方 |
|---|---|
| 名古屋大学 経済学部 | 要項は「本学以外の修業年限4年以上の同一の大学において」と書いています。2年以上の在学と56単位が要ります |
| 三重大学 人文学部 法律経済学科 | 「ただし、必要在学期間及び単位数は同一大学在学中においてに限る」 |
この書き方だと、前の大学で30単位、いまの大学で30単位、合わせて60単位という数え方ができません。いまの大学だけで必要数に届いているかどうかで判定されます。
書いていない大学もありますが、書いていないから足せる、とは限りません。条文に明記がない場合は、出願前に各大学の担当窓口に聞いてください。この部分は要項を読んだだけでは判断できない種類の条件です。
休学した期間は「2年以上在学」に数えない
もうひとつ、要項の多くに共通して書かれているのが「休学期間を除く」という一文です。
当メディアが確認した要項では、14校にこの記述がありました。名古屋大学・大阪大学・神戸大学・関西大学・山形大学・岩手大学・島根大学です。富山大学・信州大学・福島大学・鹿児島大学・大分大学・琉球大学・高崎経済大学にもありました。
つまり休学して1年空けた人は、その1年を抜いて在学年数を数えます。在籍だけしていた期間は入りません。体調を崩して休学した人、留学で休学した人は、カレンダー上の年数ではなく、要項の数え方で確認してください。
注:記載がなかった大学について「休学期間を数える」と確認したわけではありません。要項に書かれていなかった、というだけです。
数えていい単位と、数えられない単位
「62単位」と書いてあっても、どの単位を数えるかまで指定している大学があります。
| 大学 | 要項の書き方 |
|---|---|
| 岩手大学 人文社会科学部 | 「その大学の卒業要件に関わる62単位以上を修得した者」 |
| 関西大学 商学部 | いまの学部・学科で卒業に必要な単位のうち60単位以上 |
どちらも卒業要件に関係する単位だと限定しています。卒業要件に入らない科目を多く取っている人は、成績証明書の合計と、出願に使える数が一致しない可能性があります。教職課程の科目、資格のための科目、上限を超えて取った自由科目などが該当しそうな部分です。
注:「卒業要件に入らない単位は数えない」と要項が言い切っているわけではありません。どの科目が該当するかは在籍する大学の卒業要件によるので、合計がぎりぎりの人は出願前に大学へ確認してください。
いまの大学の他学部からは出せない大学がある
もうひとつ、同じ大学の中で学部を移りたい人に関わる条項があります。富山大学の要項には「(本学他学部在学者は除く)」と書かれています。富山大学の別の学部に在籍している人は、この編入試験では出願できないという意味です。
一方で高崎経済大学は、他の大学からだけでなく本学他学部からの単位も事前審査の対象に含めています。同じ大学の中で学部を移れるかどうかは、大学によって分かれます。学内の転部制度があるかどうかも別に確認してください。
単位が足りなくても「見込み」で出願できる
出願は秋です。その時点で必要単位に届いていなくても、年度末までに修得見込みであれば出願できます。要項は「2027年3月までに修得見込みの者」という書き方でこれを認めています。
ただし見込みで出す場合は書類が1枚増えます。名前は大学ごとに違います。
| 大学 | 追加で出す書類の名前 |
|---|---|
| 下関市立大学 | 現在履修中又は履修予定の授業科目一覧表 |
| 長崎大学 | 現在履修中及び履修予定の科目・単位数を明記した証明書 |
| 島根大学 | 履修中の科目及び修得見込単位数証明書 |
| 富山大学 | 履修中の科目について明記した成績証明書 |
| 大分大学 | 現在履修中及び履修予定の単位数を明記した授業科目一覧表(様式は問わない) |
大学が発行する証明書を求める大学と、自分で作る一覧表でよい大学があります。証明書を求められる場合は発行に日数がかかるので、出願期間が始まる前に在籍校へ依頼してください。
⚠️見込みで出願したあとに単位を落とすと、合格が取り消されます。下関市立大学の要項には「編入学試験に合格した後にこれらの単位を修得できないことが確定した場合は、合格を取り消します」と書かれています。合格後の後期の試験まで気を抜けません。
すでに辞めた人・卒業した人のルート
いま大学に在籍していない人も出願できます。要項は状態ごとに号を分けています。
| いまの状態 | 扱い | 例 |
|---|---|---|
| 在学中 | 2年以上在学+必要単位で出願 | ほとんどの大学 |
| 退学した | 2年以上在学して必要単位を取っていれば出願できる大学がある | 下関市立大学「かつて2年以上在学したことのある者で62単位以上を修得している者」 |
| 卒業した | 学士の学位を持つ者として別の号で出願 | 多くの大学が号の筆頭に置いている |
退学した人が気をつけるのは証明書です。在学中なら在学証明書を出しますが、辞めたあとは在学証明書が出ません。鹿児島大学の要項には「在学中の者は在学証明書、退学した者は在学期間証明書」と書かれています。前の大学に、どの書類なら出してもらえるかを先に確認してください。
成績証明書は退学後でも発行されます。ただし保存期間の決まりがあるので、辞めてから年数がたっている人は早めに問い合わせるほうが安全です。
2年次編入なら34単位から出せる
ここまでは3年次編入の話です。2年次編入という別のルートがあり、こちらは必要単位数がかなり下がります。
| 大学 | 入る学年 | 条件 |
|---|---|---|
| 信州大学 経法学部 応用経済学科 | 2年次 | 在学は1年以上。単位は専門と教養を合わせて34単位 |
| 高崎経済大学 経済学部 | 2年次 | 他の大学に1年以上在学し34単位以上 |
1年生を終えた時点で動けるのが2年次編入です。3年次編入を待つと2年生の終わりまで動けませんが、こちらはその1年前から受けられます。卒業までの年数は3年になるので、いまの大学を4年で卒業する場合と比べて1年増えます。
⚠️高崎経済大学は、在学中か退学済みかで名前と条件が分かれます。要項では、他の大学に1年以上在学し34単位を取って在学中の人は「転入学」、同じ条件で退学している人は「編入」として扱われています。言葉が違うだけでなく出願の号も別なので、自分がどちらなのかを先に決めてください。
自分が出せるかを確かめる手順
ここまでの条件を、手元の書類で確認する順番にします。
1. 成績証明書を取り寄せて、単位を数える
記憶や学内システムの表示ではなく、成績証明書に載っている数字で数えてください。出願の判定に使われるのはこの書類です。教職課程など卒業要件に入らない科目の扱いが、学内の表示と証明書で違う場合があります。
数えるときは、いまの大学だけで何単位かも分けて出しておきます。前の大学の単位がある人は、同一大学の縛りがある大学で必要になります。
2. 在学年数を、休学を抜いて数える
休学した期間がある人は、その月数を引いて「2年以上」に届くかを確認します。届かない場合は、出願の年度を1年ずらすか、2年次編入に切り替えます。
3. 自分の単位数で出せる大学を絞る
上の表で、自分の単位数以下の大学を拾います。50単位台なら鹿児島大学と福島大学、60単位台なら名古屋大学や62単位の大学、70単位を超えているなら大阪大学まで入ります。ここで受験校の候補が決まります。
4. 証明書の発行にかかる日数を確認する
成績証明書と在学証明書は、厳封で出すよう指定している大学が多いです。窓口で即日もらえる大学もあれば、郵送で1週間かかる大学もあります。出願期間が1週間しかない大学もあるので、証明書は出願期間が始まる前に手元に用意しておくのが安全です。証明書の発行手数料と、簡易書留の郵送費も出願ごとにかかります。実額は大学編入にかかるお金で17校ぶん並べました。
5. 試験科目を見て、受ける大学を決める
出願できる大学が分かったら、次は当日の試験です。経済学の筆記がある大学、小論文だけの大学、面接だけの大学があります。英語も、当日の試験がある大学と、TOEICなどのスコアを提出する大学に分かれます。
次に読む編入試験に落ちたらどうなる?併願パターンと出願戦略【2027年度カレンダー】
まとめ|まず成績証明書を1枚取る
四年制大学から編入するときの条件を並べ直します。
| 項目 | 答え |
|---|---|
| いまの大学を辞める必要があるか | ない。在籍したまま出願して受験する |
| 必要な単位数 | 50〜70単位で大学ごとに違う。62単位が最多 |
| 2つの大学の単位を足せるか | 足せない大学がある(名古屋大学・三重大学) |
| 休学した期間 | 在学年数に数えない大学が多い |
| 辞めた人 | 出願できる大学がある。⚠️在学期間証明書が要る |
| 1年生を終えた人 | 2年次編入なら34単位から(信州大学・高崎経済大学) |
最初にやることは1つです。成績証明書を1枚取り寄せて、いまの単位数を数えてください。その数字だけで、出せる大学と出せない大学が分かれます。調べるのはそのあとで間に合います。
単位数を数えたあと、どの大学なら届くのか、試験科目をどう組むのかで止まる人が多いところです。











